新規性とは?
新規性の要件
出願した時点で誰でも知りえて、誰でも使える状態、つまり、公知公用ではない、新しい物である。という事です。
公知公用は以下の物が該当します。
- 特許出願前に日本国内又は外国において公然知られた発明
- 特許出願前に日本国内又は外国において公然実施をされた発明
- 特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気 通信回線を通じて公衆に利用可能となつた発明
出願人本人の発明でも公知にしてしまったら先願になるのでご注意ください。
公開前の特許の扱い、準公知、先願・拡大先願
準公知
公開前の特許は上記の定義からすれば、誰でも知り得て誰でも使える状態ではないので公知公用になっていません。しかしながら、先願主義をとっている以上、先願扱いしないと特許が二つ成立することになるので公知になっているのと同じ扱いをします。
ただし、公開前に特許が取り下げられたら、それは先願の地位を失います。つまり後願を排除することは出来ません。ここが普通の公知と違うところです。
特許が公開されたら、それは取り下げても後願を排除することが出来ます。公開されることを前提に公知扱いするといった方がわかりやすいかもしれません。
準公知と呼ばれています。また、上記は日本の場合の話です。国によって違いがあるようです。外国に出願する場合は注意が必要です。
先願(特許法39条)/拡大先願(特許法29条-2)
先願(特許法39条)は、同じ特許が二つ成立しないように請求項の範囲が同一であれば準公知の状態でも後願排除が出来るとしたものです。その場合、そもそも、同一人物が同じ請求項の出願をする理由が有りませんが、仮に出願しても拒絶理由になります。
しかし、請求項の範囲に限る場合、かりに公開されて公知公用になった場合には、明細書に記載のすべてが後願排除(拒絶理由)になります。
準公知の場合、請求項の範囲だけを拒絶理由の対象にすると、上記のような矛盾が発生するので、準公知の場合、明細書の記載内容すべてを拒絶理由の対象に拡大したのが拡大先願(特許法29条-2)と呼ばれるものです。
拡大先願は準公知の場合、公開前なので同一出願人には適用されません。修正可能です。優先権を主張してまとめてしまえば済む話です。
新規性の対策
審査に合格するための秘策
新規性は、請求項の中に、新規の構成要素を加えることで回避できます。
例えば、ガラスで言えば、従来窓ガラス向けに使われていた技術を液晶用テレビ用のガラス向けに転用するような場合、フラットパネルディスプレイ用ガラスなどと用途を限定してしまう。
限定するだけではだめで、実際にフラットパネルディスプレイ向けに、その技術が使われている事が公知でないことが必要ですが、そこが担保されれば、新規性は確保されます。
他、薄板、大板、加工であれば、加工材料を限定する。手段は色々あります。新規性を確保するのは、進歩性を確保するのに比べると容易でわかりやすいです。
新規性喪失の例外規定
自分の発明でも、新規性の対象になり、公知公用にすると新規性は失われますが例外規定というのがあります。(特許法第30条)
例外規定の適応を受けるには、論文を公開された日から1年以内に例外規定の適用(特許法第30条)を受けたい旨の書面を特許出願と同時に提出(又は願書にその旨を表示)しなければなりません。
また、特許出願日から30日以内に公開の事実を証明する書面を提出しなければなりません。
ただし、第3者が先に出願すると、それが先願になり、拒絶されるので出来るだけ早く出願することが大切です。
まとめ
- 新規性とは公知公用ではない新しい発明である事が必要。
- 請求項の中に新規の構成要素を加えることで公知公用でなくなれば新規性は確保される。
- 新規性は確保できても進歩性には通用しないので注意が必要です。
- 公開前に特許を取り下げたら先願の地位を失う。
- 自分の発明を論文で事前に公開した場合、1年以内ならば新規性の例外の申請と合わせて出願し、さらに30日以内に公開の事実を証明できれば特許の取得の可能性あり。
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