私は今、中小企業の組織運営の支援を行っています。
具体的には仕事がうまく回すための仕組みを一緒に考えたり、場合によっては社長様だけでなく、従業員の方の話を良く聞いてマネージメントで悩まれている課題ついてどうすれば良いのか一緒に考えたりしています。
そんな中、無用な議論がなされていてもったいないと思う事が良くあります。
上記のような問題は、大手の企業でも状況は同じなのですが、その場合、やはり何とか仕組み化しようとする動きになるのが通例です。私が勤務していた会社だけでなく、大手出身の方々と話を聞いてもやはりそうです。
大手の場合、仕組みを構築する人はそれが目的になってしまい、仕組みに振り回されるといった悪影響が出てくることも実は結構有ります。しかし、中小企業の場合、そのような発想にならない会社さんが多い様に思います。あるいは、社長様はその意識があっても従業員はそうならない場合も多々あります。
どうすれば良いのか私の考えを紹介したいと思います。
議事録の充実、有効活用
議事録を書かない、当日の会話のメモをホワイトボードにすら書かないお客様もいらっしゃいます。そういったお客様に限って、何回も同じ議論を繰り返している事が多いです。
会議といっても、事業の重要事項を決定するような会議から、現場の調整事項のためのすり合わせまで色々なレベルの会議体があります。すべての会議に議事録が必要だと言うつもりは有りません。
口頭だけで良い場合もあるでしょうし、ホワイトボードのコピーを配るだけでもいい場合もあるでしょう。
ただ、個人個人の考え方をまとめ上げて決定して行くような会議ではやはり同じ議論を繰り返さないために議事録をしっかり残すことは大切だと考えています。
書記を決めておく
よくあるのが、司会者が書記も兼ねるようなケースです。一般に司会者はその会議を進行する責任が有ります。なので、司会者は議事進行に注力すべきで、書記は事前に指名し、記録するのに集中してもらうことが大切だと思います。
会議中は記録よりも議論に集中すべきという方もいますが私には言い訳にしか聞こえません。記録する方が遥かに議論に集中します。ただし、書記の人は議論には基本参加できなくなるといった問題は有ります。
よくあるのが、司会の方がホワイトボードに記録しながら司会進行される事が良く見受けられます。しかし、司会は議事進行して行く事に注力すべきです。司会がメモをしている間は議論がとまる場合が多いです。
当日の議論の流れを板書して行くのはやってみると分かりますが決して簡単ではありません。板書の指南書も色々出ているようなので、上達したい方は参照してもらえれば良いと思います。
議事録は参加しなかった人にも内容が分かるように書く
議事録は結論を書くのは当然ですが、どういった議論がその場でなされたのか、そういった内容もしっかり記載しておく事が大切です。実際に結論に至った経緯が不明だと、同じ議論を何回も繰り返していく事になりがちです。
議論は淡々と進むのは普通は無いです。話が色々な方向に飛びながら、進んで行くのが通例です。会議を録音しておく事も有効ですが、録音を聞き直して議事録をまとめるのも時間がもったいないです。
メモも参加者で共有する
最近の会議は紙ではなくプロジェクターで映しながら進む事が多いです。なので、資料を共有する必要が無い場合は、打ち込んでいるメモも画面共有して皆で共有する事が有効です。ホワイトボードに板書して行く方法でも構いません。
発言者がメモの内容をその場で修正してくれることも良くあります。後々、議事録にするにはやはりパソコンで打ち込んでそれを共有しておくのも良いと思います。
メモはその日のうちに見直す
メモは数日たって見直すとなんのことだか忘れてしまう事が良くあります。なので、初期の人はその日のうちにメモはもう一度見直し、自分で理解できるように主語や述語は追記しておく事をお勧めします。
その日のうちに議事録を作成するのは色々な事情があって出来ない場合もあるでしょう。しかし、数日たってからメモをみて改めて議事録を書こうとしても内容を忘れてしまっている事が多々あります。
メモを見直して言葉を追加するのは10分もかかりません。お勧めします。
司会者は過去の議事内容をよく理解しておく
本来、全員が会議の前に過去の議事録を見直して会議の望めれば良いのですが、それは中々難しいのが現状かと思います。過去の流れを全く無視して発言される方もいらっしゃいますので、その時には都度、司会者が修正する必要が有ります。
私は前回参加していない。という方もいらっしゃいます。それはそれでわかるのですが単に過去の議論を蒸し返しているだけのような場合、しっかり修正する必要があると思います。
事実確認(現状整理)
また、議論の中で、現状どうなっているのか共通認識が持てないまま、議論が進んでいく場合も多々見られます。それは全く無用な議論であり、そもそも現状認識を合わせる事が無用な議論を防ぐうえで大切です。
事前に現状を整理して関係者に送付できれば良いですが、そうでない場合は初めに、現状の整理から始める事をお勧めします。時間がもったいないように感じますが、結局現状の共通認識が無い場合、議論が無駄になる可能性が高くなります。
理想は事前に現状を整理した資料を関係者に送付し、これについて何か質問は有りませんか?といった形で現状確認する方法をお勧めします。議論にも自然に入っていきやすいです。
事前に資料を読んでいない人も、質問の間に読んでもらえるといった利点もありますし、現状を理解していない発言に対してはその場で司会者が修正しやすいといった利点もあります。
作業指示書、作業計画の整備
作業指示すら口頭で済ましている会社さんも結構あります。当日の流れやチームとしての仕事、自分のという実の仕事が一目でわかるようになっていないので、常に仕事を調整する必要が出てきて無駄な時間、無駄な議論が発生すると思っています。
そんな事を言っても、常にトラブルは発生するし、計画通りに行かない。その場その場で対応するしかない。ドキュメントを整備する時間がもったいない。という方が必ずいらっしゃいます。
私から見れば、万事そのような態度で対応しているからトラブルも減らないのだと思っています。
管理者の方は、うちのメンバーは時間があくとすぐにサボろうとする。あるいは、何をやればよいのか毎回聞いてくる、全体の流れが見えていない。等々言う前に管理者としては全体の流れ、個人の仕事に流れが見えるような工夫をしてきたか、しているか、、そういったことを考えていただきたいと思っています。
メンバーには色々な方がいて当然なのです。メンバーの教育をどうするか、仕事を任せる判断をどうするかはまた別の話です。
作業は何をやれば良いか分かるようにすることが大切です。その日の仕事を明確に指示し責任を持ってもらう必要が有ります。
また、事業によって異なるかもしれませんが、作業指示書は基本毎日発行するので作業指示書1枚でそれをカバーするのは不可能です。作業計画、図面、QC工程表等、色々な物が整備された上での話になります。
また、そういった各種ドキュメントは量産中は誰でも見られる状態にすることが大切です。
この辺りが整備できれば、次は生産状況を如何に見えるようにしていくかが非常に大切になってきます。
まとめ
- 会議で決めた事が周知されず同じ議論を繰り返す。
- 司会者は過去の議事録内容を確認したうえで会議に臨み、議論の蒸し返しを防ぐ
- 重要な会議は会議に参加していなかった人でも議論内容が分かるように書く
- 書記は司会者以外が任命する
- 事実を確認せず、個人個人の思い込みで議論している。
- 事前に現状を整理した資料を送付し、当日はその質問から入る。
- 事前に資料を準備するのが難しい場合は会議の冒頭に事実確認から始める。
- 日常の作業の指示でも抜け漏れが多く、都度調整、確認が必要
- 個人の作業、全体の作業の流れが誰でもわかるように見える化/共有化する事が大切
- 作業中で都度、個人の作業、全体の作業の流れが確認できるようにする
- 作業指示書は基本毎日発行するので、作業標準書など他のドキュメントの整備が必要
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