特許の明細書、特許公報とは?その種類、見方、読み方を説明します。

特許法 特許とは?

特許請求の範囲を示す請求項、それをフォローする実施例がメインです。他に、各国の特許庁が技術内容に応じてコード化した特許分類が記載されています。特許検索に使います。他にも特許の有効期間がわかる出願日など記載されています。

特許公報とは?

特許の明細を記載したもので、明細書とも呼びます。特許公報には、公開特許公報特許公報の2種類あります。

公開特許公報
  • 出願から1年半後に公開される特許公報です。
  • 特許査定前の内容ですので、特許になるかどうか不明です。
  • 公表特許公報、再公表特許候補といった表記のものもあります。いずれもPCT出願で公開される特許です。

 公開特許は特許内容を確認の上、何らかのアクションが必要か否か検討します。対策は進めるとして、最終的には特許公報にて内容を確認します。

特許公報
  • 特許査定が確定し登録された内容が特許公報として公開されます。
  • 特許が成立していますので、しっかり確認する必要があります。

特許公報には何が書いてあるのか?

 特許公報に書かれている日本語は非常に読みにくく、普段使わないような日本語も多数出てきます。今でも明細書を読むのが苦手です。しかし、全文を隅から隅まで読む必要はありません。

 余談ですが、請求項の事を知財関係の方は「クレーム」と呼ぶ方が多く、今でも違和感を持ちます。単純に品質のクレームを連想してしまうからです。私は請求項と呼びます。

明細書は特許を読む目的によって必要な所を読み、それだけで判断出来なければ深く読み込むというのが現実的です。

 そのためにも、特許公報には何が書かれているのか、紹介したいと思います。

ヘッダー記載内容

特許分類

各国特許庁の審査部門が発明の内容を技術的に分類し、コード化した物です。

IPCは国際特許分類と呼ばれ世界共通、FIは日本の特許庁が付与した技術分類です。詳しくは下記のサイトを参照ください。

j-platpat

特許を検索したり、調査する場合に使うコードで、適切な特許分類を活用すると精度の良い調査が可能になります。

上記サイトを見ていただくとお分かりのようにIPC、FIは階層構造になっています。

特許番号、出願番号、公開番号

特許番号は7桁の数字ですが、出願番号、公開番号は年と数字の並記した形で記載されます。上記特許で言えば特許第3700833号、特願2000-243297、特開2001-101461となります。番号が分かれば明細書と紐付けされているので特許検索によく使います。

出願日

この特許の出願日は平成12年8月10日となっています。特許の有効期間はこの出願日から20年間ですので出願日はチェックしましょう。

その他

優先日が平成11年8月10日と平成12年7月17日と複数のあるので複数優先である事が分かります。早期審査対象出願である事も明記されています。また、アメリカに出願された特許の優先権を主張した特許である事が分かります。

要約

特許公報には記載されませんが、公開特許では要約が発明の名称の下に記載されます。上記の特許の公開特許(特開2001-101461)の要約を下記に示します。

特開2001-101461から抜粋

特許請求の範囲

特許第3700833号から抜粋、赤字追記

 その次に記載されるのが、特許請求の範囲で言葉で示されます。請求の範囲を項目ごとにまとめたのが請求項です。請求項にはそれだけで独立している独立項と、それよりも前の請求項をさらに規定した従属項からなります。独立項は一つとは限らず、請求項の後の方に出てくる場合も良くあるので注意が必要です。

その他

請求項以降は発明の詳細な説明が記載され、具体的には以下のような内容が記載されています。

  • 【発明の属する技術分野】
  • 【従来の技術】従来のどういった物であったか?
  • 【発明が解決しようとする課題】過去の技術ではどういった課題があったのか。
  • 【課題を解決するための手段】今回の発明ではその課題をどうやって解決したのか
  • 【発明の実施の形態】実施例、具体的に再現できるように記載する必要あり
  • 図面や表の補足資料
  • (場合によって国際調査結果)

特許公報の見方

特許の抵触/非抵触を判定する場合

 ・特許請求の範囲を確認する事になるので、請求項の独立項を読むことになります。抵触/非抵触の判断方法は別の記事で紹介します。

技術調査を目的とする場合

 請求項以降はストーリーになっているので、発明の属する技術、従来の技術を読んで、自分が必要としている特許か否か判断すれば良いと思います。

 公開特許であれば概して分かりにくいですが要約を見るのも良いと思います。

実施例の読み込み

 公開特許の段階で抵触していたり、請求項の文言だけでは判定が難しい場合は必然的に明細書を読む必要が出て来ます。

 最初から文章で理解するのは私には非常に難しいですし、根気が続きません。私の場合加工方法や、機械的な特許が多かったので、まず図面の説明資料を印刷して、その説明を手書きで記入していきました。モニターを読むだけでは頭に入らないのでそうしていました。

後は必要に応じて、文章を見て行く。といったやり方をとっていました。参考にしてください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました