思考と行動は選択できる。認知行動療法の基本モデルの紹介です。

心理カウンセリング

人間の「認知」に着目して問題を解決して行こうとする考え方と、人間の「行動」に着目して問題を解決して行こうとする考え方があります。

認知療法、行動療法と呼ばれ、別々に発達してきましたが1980年台から両方を合わせて心理療法に使うとより効果的との認識が広まり広くカウンセリングに応用されるようになりました。

認知行動療法と呼ばれますが自分を見つめなおすのにも大変良い考え方と思いますので紹介します。

認知療法、論理療法

自分が悩んでいたら、自分は偏った考えをしていないか?と自分の凝り固まった考えをマッサージするようなイメージで色々反論してみる事が大切です。

自分の凝り固まった考えを揉み解す質問
  1. そう考える根拠は?事実に即してる?
  2. そう考えて誰が得をする?
  3. いつ頃からそう考えるようになった?
  4. そうじゃない場合もあるよね。
  5. 同じことを親友が悩んでいたら何と声をかけるか?

 個人的には2、そう考えて誰が得をする?と考えると、結局誰も得をしないな。と思えることが多いです。5、同じことを親友が悩んでいたらなんと声をかけるか?も私にとっては非常に有効でした。

また、マッサージですから無理をすると痛みを伴います。私の好きな河合隼雄さんの言葉を紹介します。

悩みとか苦しみというのはそれに本気で向き合わないといつまでもそこから抜け出せない、というところが有ります。正面から取り組む、というのかな。「あいつが悪い」と誰かのせいにしておく限り、自分はその問題に正面から向き合わなくていいわけですからね。「あいつが悪い」方式でバーと怒ってしまうというのは、努力せずに100万円拾いたいという発想に近い。問題を自分の物としてみると、糸口は色々見えてくるんです。

悩んでいる時は全部がままにならない、八方ふさがりに見えます。実際に、もつれた糸を扱うのと同じでね。もつれた糸をほどこうとする時、いらついてその中から一本だけ引っ張り出そうとする人、いるでしょう?それをやると、ますますもつれて糸全部が使い物にならなくなる事が多い。

ふわーふわ―とやっているのがもどかしいようでも結局一番の解決方法だったりします。不思議な事にふわーふわーとやっていると、ほどけるときにパラパラっと一気にほどけるんですね。不思議なくらい。

こころの天気図、河合隼雄、PHP研究所 より

こんなこで悩んでいてはいけない。○○しなくては?と思うと悩みから抜け出せない自分に落ち込みます。自分自身の考えを揉み解しているとふと心が軽くなる瞬間が訪れます。

一度心が軽くなる瞬間が訪れると大丈夫と思えます。悩んでいた自分がばかばかしく思え、悩んでいる場合じゃない。もっと他にすべきことが有るだろうと思い始める訳です。

そうやって新しい自分、成長した自分に出会えるのではないでしょうか?少なくとも私はそう思っています。

良ければ、以下の二つの記事により詳しく記載しているので参照ください。

行動療法

行動主義心理学と呼ばれ、刺激と反応を心理学的になされた研究が有ります。刺激と反応と言えばパブロフの犬が有名です。しかし、これは古典的条件付けと呼ばれています。

一方、何かの目的を達成するのに役立つ行動を条件づける事をオペラント条件付けと呼びます。行動随伴性としてよく説明されます。

パフォーマンスマネジメント 島宗 理 米田出版 から 筆者が作成

行動を強化しようとしたら結果がすぐに判明し、しかも、好ましい結果(褒められる、ご褒美が有る)である事が大切。

先行条件を活用し「もし、状況Yが起きたら、行動Zを実行しよう」のようにif-thenの形式で計画を立てる事も大切と言われています。

行動随伴性の場合は精神状態が通常で、それをさらに上げて行こう、といった時には適切かもしれません。

しかし、精神状態がマイナスの状態からゼロに持っていくような場合には行動随伴性の考えは少々厳しい。そうはいってもね。となるように思います。

その場合、行動を促すのは、行動のハードルを下げて、行動しやすくすることがまずは大切になります。

認知行動療法とは?

認知行動療法とは、認知療法と行動療法の両方を行う事で、感情、生理反応に効果的に作用するため、治療効果が高いと言われています。

認知行動療法の基本モデル

自分の、心の問題、悩みが生じる状況を正しく把握するために、どういった環境下におかれると、自分の行動や、認知、気分や感情がどうなり、どのような行動(身体反応)が発生するのか相互関係を図解することで、まずは、自分自身をよく理解することから始めます。

具体的には下の図のように、自分が置かれている状況を整理するのに基本となる環境要因、個人的な要因を書き出します。その図解化した物を基本モデルと呼んでいます。

個人的要因は、そのような環境下におかれた予期に生じる行動、認知(思考)、気分、感情、身体反応を書き出します。

環境と個人的要因を書き出し、相互作用を整理することで自分の置かれている状況を客観的に理解できるようになります。

例えば、会議で緊張が高まり上手く話せないことで悩んでいる場合の基本モデルは以下のようになります。

上級心理カウンセラー資格取得講座 2.認知療法・認知行動療法 株式会社キャリアカレッジジャパンを参考にして作成

認知(思考)や行動は自然に任せる事も出来ますが、自分で選択も出来ます。選択可能な「認知」や「行動」を少し変える事で結果的に気分や感情、身体反応を変えて行く事になります。

分かっているけど、それが出来ないから悩んでいるんだよね

はい。なので、認知と行動の両方で少しづつ攻めて行く事になります。

認知療法を適用する

まさしく認知を変えるべく自分に問いかけて行く事になります。

行動のハードルを下げる

不安階層表と呼ばれます。心理学な用語で言われると、何それ?と思いますが、簡単に言えば、行動のハードルを下げるんです。

不安階層表の概要と具体例 | カウンセラーWEB:心理学・カウンセリングの基礎知識 (counselorweb.jp)より

SUDは主観的なハードルの程度です。100点満点、100点はとても無理というものです。

高所恐怖症の克服の場合、だんだんとハードるを下げて、まずは、マンションの3階から外を眺め、慣れて来たら、歩道橋の上から下を見る。といった手法です。

社員全員の前で何も言えないのであれば、まずは、職場の仲間内で自分の意見をはっきり言う。等です。

コーピング、対処法

平たく言えば、自分なりの対処法、例えば、上司が不機嫌な表情をしていればその場からいったん離れるとか、一旦離れられなければ、仕事に集中するとか、何でも良いです。

自分なりの気晴らし方法をリストアップして見直すことも有効です。例えば好きな映画を見るとか、おいしいものを食べるとか、ごろ寝を楽しむとか、趣味に没頭するとか、何でもいいです。

大切なのは対処することで自分の気持ちがどれだけ楽になるかを書き出して点数付けして振り返ってみる事です。

趣味に没頭するあまり、趣味がストレスになるような事もあります。太り気味の人はおいしいものを食べるのに罪悪感が出るかもしれません。

そのようにして適切な対処法かどうか検証してみる事は新たな対処方法が思いつきやすくなります。

リラクセーション法と呼ばれていますが深呼吸や背伸び、ストレッチ、簡単な運動もリラックスさせる上ではやはり効果的と言われています。

活動を見える化して問題点を探る。

自分の生活を具体的に記録し、日々の生活を改めて見直そうと言うものです。

認知行動療法とは|基本モデル・原則・行動技法例などを網羅的に解説 | 猫しな。 (oimohouse.com)より

記録するだけでも改めて自分の活動の問題点が見えてきます。

一般に継続可能な運動や、食生活の改善、生活サイクルの見直しが大切と言われますが、なかなか実行できません。しかし、こうして記録をとると問題点が見えるようになり、行動に繋がりやすくなります。食事は毎回の食事を写真で記録に残すだけでも有効と言われてますよね。

自分の心の癒し、あるいは救いと思われるもの。(助けと思われる行動)、例えば趣味の時間とか、家族の会話とか、そういった時間を改めて取る事も大切です。

そういいながら、私は記録など面倒なので改めて取りません。それでも、手帳などのスケジュール表は時々、改めて振り返ると同じような効果が得られると感じています。

まとめ

  • 認知行動療法は、思考法/認知を変えるだけでなく、行動にも働きかけ、悩みを解消する手法
  • 認知と行動が変われば、感情・気分・身体反応が変わってくる。
  • 認知療法は自分の自然と出てくる思考をマッサージするつもりで色々反論する事が大切
  • 行動療法は、行動のハードルを下げ、出来る所から実施して行く事が大切
  • また、実際の自分の活動、行動を記録し、見直すことで問題点を見つける事が大切。

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