相手の特許をつぶす具体的な方法について分かりやすく解説します。

審査請求後に必要な対応

相手の特許を侵害している場合、その特許回避方法を検討するのが大原則です。

しかしながら、色々な問題があり、回避できないような場合があります。そのような事を想定して、普段から訴訟リスクを進める必要が有ります。

攻めの強い特許の創出を日頃から進めたり、同業他社の状況を把握し、危なそうな特許があれば早めに見つけるために定期的にモニターするシステムを作るのも大切です。

しかし、今回は、もっと直接的にその特許を潰したいと思ったらどうすれば良いのか簡単に説明します。

その特許、本当に侵害していますか?

公開特許/特許公報

特開2014-118663より
特許6171327より


基礎中の基礎ですが、公開特許は特許として成立していません。

請求項の公開特許と特許公報の一例を示しています。一般に、公開特許では請求項1は広めの範囲設定になりますので、実際に特許になると、下線部のように明細書記載の中から色々な補正が必要になり範囲が狭くなります。

従って、公開特許で侵害している特許が見つかったら、明細書を確認し、自社が実施している技術内容が明細書にも記載されているかどうかを確認します。

明細書を読んでも自社の技術が関係するのなら、どういった反論をしていくのか理論武装を考えしょう。

しかし、公開された特許すべてが審査請求されるとは限りません。

一般に、検証性の低い特許、例えば生産方法など相手から見て、侵害しているかしていないか検証できない特許などは、審査請求されるかどうかを見極めてから対応しても良いでしょう。

いずれにしても、公開公報で侵害する可能性のある特許が出てきたら、明細書を確認の上、処置方針を決め、必要な対策を取りながら、状況をWatchして行く事が大切になります。

包袋の精査(拒絶理由通知/意見書/補正書など)

一回で登録になるのは稀で、拒絶理由通知書が発行され特許出願人が審査段階で意見書や補正書により或る意思の表示(先行技術との相違点などの主張など)を行うのが普通です。

特許出願人はその意思表示と矛盾するような特許権の主張をすることができないという原則があります。禁反言の原則と呼ばれます。

文言上侵害すると考えていた特許が、包袋を精査することで、実は、非侵害だったと考えられる場合も出てきます。出願人の主張が自分の技術に該当しない場合です。

例えば特許出願人が意見書中で“本願発明の構成によりAという効果を奏する。”と主張した場合、特許侵害訴訟で被告側は“私の製品はAという効果を奏しないので原告の特許発明の技術的範囲に属しません。”と主張できます。

包袋禁反言の原則についての用語を詳しく説明します。:パテントに関する専門用語詳細ページ(今岡憲特許事務所) (imaokapat.biz)より

特許出願人の主張、意見をよく理解し、本当に侵害しているのかどうか判断して行く事が大切になります。

このレベルになると、発明者の判断ではなく、知財部、あるいは、特許事務所の弁理士の先生にしっかり判断いただく必要が出てくるでしょう。

また、いざ訴訟になれば、いくら知財部や特許事務所に頑張ってもらっても、相手がどのようなカードを持っているのか?にもよるので100%大丈夫という事は有りません。

なので、特許回避を大前提として考える事が大切になります。

具体的に特許をつぶす方法

出願日前の公知公用例の調査

世の中にあるすべての公知公用の中から、新規性/進歩性など特許要件で反論できそうな資料を探すことになります。

まさしく、同じものが見つかる事は少ないですが、似たようなものも数が多ければ、それだけ反論できるチャンスが多くなります。

調査会社、あるいは特許事務所に調査を依頼することが多いですが、発明者にも、専門書や学術書に記載された例はないか?と良く聞かれます。

社内資料を持ってくる人もいます。当然、社内資料は公知公用ではありません。

情報提供/異議申立て/無効審判

特許庁のH.Pを参照して筆者が作成

情報提供

実際に、相手の特許をつぶすのに有効と思われる資料が出てきたら情報提供をすることが出来ます。

しかし、出来るのは情報提供だけで、審査官に説明したり連絡を取ることが出来ません。また、匿名で情報提供は出来ますが、情報提供があったことは出願人に知られてしまいます。

しかし、匿名とはいえ、相手にとって非常に嫌な特許なのだな。と認識することになり、相手にも理論武装を強化するキッカケを与える事にもなります。

私が勤めていた会社では、基本的には情報提供はしない。いざ、訴訟になったら、その時に戦えるように準備を進めるのが基本方針となっていました。

なお、提出できるのは書類であって、動画などは提供できません。

異議申し立て

そもそも、特許の早期安定化を図るのが目的なので、当事者間の争いである冒認出願や共同出願違反を理由に異議申し立ては出来ません。無効審判で争う事になります。

実際の審査は出願人と特許庁の間で、基本、書類審査が行われます。審理の的確性を担保するため、通常の審査と異なり、3人又は5人の審判官の合議体が審理を行います

また、異議申立てをした人は、それが受け入れられなかったからと言って無効審判を請求することは出来ません。

無効審判

利害関係者しか申請できません。特許庁から審判長が参加しますが、特許権者と申請人が直接議論することになります。

まとめ

  • 相手の特許を潰したいと思ったら、本当に相手の特許を侵害しているか確認する。
  • 公開特許であれば明細書を確認の上、処置方針を決め、必要な対策を取りながら、状況をWatchし、特許公報が出た時点で再度侵害しているか確認します。
  • 特許公報で特許が成立していれば意見書や補正書などの包袋情報を精査し、禁反言の原則をもとに、本当に侵害していると言えるか確認します。
  • 特許要件に反論できるような情報が見つかれば、特許庁には情報提供を行ったり、異議申立てや無効審判を行う事が出来ます。

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