厚生省の2018年の労働安全衛生調査によると、正社員の61.3%の人が「仕事や職業生活に関する事で、強いストレスとなっていると感じる事柄がある」と回答しています。
また、うつ病|こころの病気を知る|メンタルヘルス|厚生労働省 (mhlw.go.jp)によると、日本では、100人に約6人が生涯のうちにうつ病を経験しているという調査結果があります。また、女性の方が男性よりも1.6倍くらい多いことが知られています。
皆様も感じられていると思いますが、うつ病なり、うつ状態なり、何らかの精神的な不調、疾患を抱えられている人は非常に多いと感じています。
私は、心理カウンセラーの有資格者といながら、実際に精神疾患を抱えられている方に対しては精神科のお医者様に紹介するしかない訳です。
人事や労務の経験もなく、精神疾患を抱えられている方に、どのように対応したら良いのか戸惑う事が多々あります。
私と同じように、そのような方に、どのように接すれば良いのか勉強しておくと、同じ事で困っている方々のお役の相談に乗れるのではないか?と思うようになりました。
そんな時、メンタルヘルス・マネージメント検定という物がある事を知りました。独学も可能なので費用がかからないのにも魅力を感じました。
どうせとるなら社長様のお手伝いが出来るように人事労務管理向け、経営幹部向けのⅠ種を取得しようと思い、勉強を開始した所です。
皆さんのお役に立てそうな情報を私の勉強も兼ねて、時々発信して行こうかと思っています。宜しくお願い致します。
メンタルヘルスの不調は経営の問題
メンタルヘルス・マネジメント検定試験 公式テキスト Ⅰ種 マスターコース(中央経済社)によると以下のように記載されています。
- ひとたび過労自殺や過労死が発生すれば、周囲の労働者は動揺し職場の士気低下につながる
- メンタルヘルスが不調な状態が継続すれば、事故やミスの発生、隠蔽の危険性という企業リスクとなる
- メンタルヘルス不調による労働力損失は決して小さくない
- メンタルヘルス対策を講じる事は、職場機能・活動性を守るという、企業の人的資源管理面における最重要テーマである
メンタルヘルス不調を労働力損失、企業リスクといった、非常にドライな観点から見ても、メンタルヘルスは職場で取り組むべき課題であると言うのは、私にとっては新たな視点でした。
他にも、誰もが状況によってはメンタルヘルス不調になる可能性がある。との認識が必要とも記載されています。
うつ病やストレスそのものがなくなると改善する適応障害と呼ばれるものまでを想定すると、メンタル不調は誰でもかかりうる物、うつ病は心の風と呼ばれるのは分かる気がします。
確かに、同じ程度にストレスにさらされても、気分転換の上手な人、そもそも、考え方が楽天的な人はうつ病にかかりにくいようにも思います。よく、生真面目で、几帳面な人がうつ病になりやすいとも言われます。同じような環境下にいてもうつ病になる人、ならない人は確かにいそうです。しかし、この人はうつ病にはならないだろうと思っているような人が実際にうつ病になったりします。
そもそも、私自身も、今はストレスもほとんどなく、メンタルも非常に良い状態だと思っています。しかし、昔は、会社に行くのが非常に苦痛であったり、出張で飛行機に乗っている時に、この飛行機が墜落したら楽になれるなと思ったら急に涙が出てきたり、実際、非常に病んでいた時期はありました。
今は、心の健康をコントロールする術も身につけているとは思っていますが、将来にわたってもかからないか?と言われると分からないように思います。
早期発見のポイント、「いつもと違う」と感じる勘
従業員のメンタルヘルス不調に気づくためには、従業員の普段からの変化に注目する事が重要です。つまり、「彼(彼女)は今までと違って、最近様子がいつもと違うぞ」という勘を大切にして行動を起こすことが重要なのです
メンタルヘルス・マネジメント検定試験 公式テキスト Ⅰ種 マスターコース(中央経済社)より
仕事の上では、やはり、日々の会話が大切になるという事だろうと思います。いつもと違う、と思うポイントとして、ケチな飲み屋 といった語呂合わせが一般に言われています。
け:欠勤
ち:遅刻・早退
な:泣き言を言う
の:能率の低下
み:ミス
や:辞めたいと言い出す
しかし、上記のような言動が見られたからと言って、メンタルヘルスが不調と言えるか?というと、必ずしもそうではないですよね。
今までとは異なる変化が起こっているのに、その原因が分からないのであれば、分からないまま放置せず、原因を確認しなければなりません。(中略)その反応が常識で考えて理解しにくいものであれば、メンタルヘルス不調の可能性を疑うべきです
メンタルヘルス・マネジメント検定試験 公式テキスト Ⅰ種 マスターコース(中央経済社)より
私は、原因を確認するのはその通りだと思うのですが、既に理解できないような事を言ってくるようであれば、すでに、かなり、病んでいるような気がします。
会話の時に目を合わせない、理由を聞いても、何でもありません。としか答えない。そんな時は聞いている方に問題が有るか、メンタルヘルスは不調であると思った方が良いかと思います。
理由を聞いたら、○○が大変で、等、愚痴の様か物が出てきたら正常な範囲内かな?という気はします。
誰が何に困っているのか?事例性について
メンタルヘルス・マネジメント検定試験 公式テキスト Ⅰ種 マスターコース(中央経済社)には、アルコール依存症の例が挙げられています。
例えば、毎日、大量のお酒を飲んで、離脱症状(禁断症状)が出ているような人でも、きちんと仕事をし、家族にも普通にされている場合は本人の健康が心配なだけであって、労務管理上はなんら問題は有りません。
一方、普段は全くお酒を飲まなくても、嫌な事があると、深酒をして遅刻してくるなど、労務管理上問題になるケースもあります。
病気であっても、本人も周囲も何ら困っていない、従って治療を求めていないケースでは、人事労務管理スタッフや管理監督者が本人に対して強く受診を進める事は出来ません。せいぜい本人の健康状態が心配である事を伝え、軽く受診を促す程度でとどめるべきでしょう。
逆に、大事な仕事をすっぽかす、酔って出席してくるなどの職場管理上問題となる行動が認められたら、それを解決する為にしかるべき専門医の診断や治療を受けるよう命ずることが出来ます。
もし、その問題となる行動が、病気によるものでないと医師によって判断されたなら、労務管理上の問題として就業規則などに照らして、問題に応じた対応が可能になります。
メンタルヘルス・マネジメント検定試験 公式テキスト Ⅰ種 マスターコース(中央経済社)より
本人が治療を拒否するような場合は家族に事情を説明し、家族の理解を得て受診につなげるのが基本ですが、職場管理上の問題として、メンタルヘルス不調をとらえる。といった考え方は私自身、勉強になりました。
まとめ
- 誰もが状況によって、メンタルヘルス不調(心の健康問題)になる可能性が有る。
- メンタルヘルスの不調は、企業リスク、労働力損失につながる経営上の問題である
- メンタルヘルス対策を講じる事は、職場機能・活動性を守るという、企業の人的資源管理面における最重要テーマである
- 早期発見のポイントは「いつもと違う」と感じる勘、変化した原因を確認する事が大切
- 病気(精神疾患)が有っても、職場管理上、問題が無ければ、人事労務管理スタッフや管理監督者が本人に対して強く受診を進める事は出来ません。せいぜい本人の健康状態が心配である事を伝え、軽く受診を促す程度でとどめるべき。
- 一方、職場管理上、問題となる行動が見られた場合は、しかるべき専門医の診断や治療を受けるよう命ずるべき
- 仮に、問題となる行動が病気によるものでないと診断されたら、就業規則などに照らした対応が可能になる
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