デザインレビューで大切なポイント。「自信を持つ」「完成形を詳細に見せる」「問題を先送りしない」

デザインレビュー

試作機、パイロットプラントのステージに進むには、実際に量産の姿がイメージ出来、自信を持てることが大切なポイントだと思っています。詳しく説明します。

設計・開発フロー

 デザインレビュー(D.R)、設計検証、設計審査等、色々な言い方がありますが、本ブログでは上記のフロー図のように定義致します。

デザインレビュー:試作品/プロトラインのステージに進むためにレビューを行う

  設計審査:量産に移行するにあたって総合的な審査を行う。

自信を得る事。

個人的な考えですが、調査/予察実験の目的は、開発目的が達成できるとの自信を得る事です。自信は事実を積み上げて行く事でしか得られません。

なぜ自信を持つことが大切か?

 自信を持つというより、量産で問題なく出来るといったイメージを持てるが大切です。また、自信は調査や実験を通してでしか得られません。そうでなければ人の意見に左右されることになります。

 完成形がイメージ出来ていれば、現状と完成形を対比して、何が違うのか?足りないのはなにか?を考えて行く事になります。

 例えば、色々な問題点を指摘された際に、自信があれば、それは〇×なので試作品で確認しましょう。とか、その問題点に関しては○○ではないですか?と議論が出来ます。

 自信を持って議論が出来なければ、素直に調査/実験に戻るべきと思っています。

完成形の詳細が具体的に見せられること。

試作品やパイロットラインに進むには、製造や営業など、関係部署の了解をもらう必要が有ります。その為、完成形が具体的に分かるように基本設計をまとめ上げる事が大切です。

関係部署の人から、後で、思っていたのと違う。そういった物だとは思わなかった。等と言われては、その時点でやらなければならないことが増えます。

余計な仕事を増やさないためにも、詳細に、完成形が具体的に見える形で紹介しましょう。

良く走りながら考える。と言いますが、経験上、走りながら考えるは上手く行きません。

自分で完成形をイメージし、絵を見せる事です。実際には検証してみないと分からないので、そこは走る必要があるのですがそれでいいんです。具体的な絵が無いと相手もあやふやなので、後々揉めることになります。

具体的な絵が相手に伝われば、その時点で議論が出来ますが、あやふやまままでは、議論もぼやけます。

逆の言い方をすると、具体的な絵が描けていないと自信は持てないはずです。

実際には検証してみないと分からないわけですから、自信を持つとは具体的な絵が描けているとも言えます。

この手の議論をすると、絵の通りに現実は進まない。どんどん、先に進め、走りながら考える事が大切。という方は必ずいます。

ある意味、その通りなのですが、後々、問題が顕在化した場合、影響が大きく、問題も起きくなります。本質的な問題は先送りして良い事は何もありません。

揉めそうなことは先に揉めておく事が大切で、そのためには、出来るだけ、具体的な姿で議論する必要があるという事を特に強調しておきたいです。

少なくとも、思っていた通りに行かない場合には、自分が想定していたのと何が違ったのか?と考えるだけ、傷は少なくて済みます。

また、先に説明しておけば、周りの納得が得られやすかったものを、上手く行かなくなってから、これこれだから大丈夫、と説明しても言い訳のように聞こえてきます。

関係者を巻き込み、開発を進めて行くためには、やはり、自信を持つ事。具体的な絵姿を見せる事の方が大切だと個人的には思っています。

問題を先送りしない

私の経験上、本格検証まで進んで、結局上手く行かず、中止に追い込まれた経験は何個かありますが、それは、やはりその前の、デザインレビューの時にも、完成形を明確にイメージ出来ていなかった。自信がなかったと言うのが有ります。

開発は、次のステージに進む関所のようなものが何回かあります。デザインレビューはその代表です。そこで問題を先送りしない。という事が、当たり前ですが大切だと思います。

この手の話になると、時間が大切。走りながら考える事が大切。という方もいらっしゃいますが、走りながら考えて済む話なら走りながら考えれば良いと思いますが、完成形に自信が持てない物は「急がば回れ」が結局近道だと思っています。

トップ方針などで話がどんどん進んでしまうような場合は要注意となります。

デザインレビュー

インプット情報のレビュー

インプット情報は以下の4点

  1. お客様の要求事項
  2. 開発目標
  3. 設計仕様
  4. 開発コンセプト

調査/予察に進む前にデザインレビューの決裁者にインプット情報は決裁をもらっておくことは大切です。

お客様の要求事項は、開発部門と営業など客先対応部門、社内開発の場合はお客様となる製造との事前擦り合わせは必須です。しかし、それ以外の3点は、改めて関係部署と開発計画書の形ですり合わせをするので、まずは、設計/開発部門でしっかり協議し、決裁をもらう事が大切です。

要素技術の検証

まずは、要素技術の検証が必要です。下の図を見てください。開発目標を達成するために、必要な技術として洗い出したのが要素技術です。

要素技術が進まないと開発目標は達成できません。

よって、要素技術の検証を調査(シミュレーション)やプロト機を使った試験を通して開発目標が達成できるかどうか検証することになります。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: image-27.png

試作機、プロトラインの仕様まとめ(基本設計)

要素技術で目途が得られたら、実際の試作機、あるいはプロトラインの仕様をまとめることになります。デザインレビューの際の内容は、下記の様になるので、それを意識してまとめる必要が有ります。

レビュー内容
  • 要求項目からの要素技術/開発目標の進捗状況
  • 過去の不具合対策が反映されているか?
  • 他社特許の抵触有無、特許戦略の明確化
  • マージン評価
  • 量産性評価(品質/コスト/納期)
  • リスク評価

まとめ

  • デザインレビューで大切な事
    • 完成形を明確に、具体的に描けて、自信が持てる事。

コメント

タイトルとURLをコピーしました