怒りがコントロールできないとお悩みの方へ。怒りをため込まず、上手に処理する方法を紹介します。

心理カウンセリング

怒りを意識的に押さえつけただけで、心の中で整理したことにはなりません。イライラが体の中に蓄積されて行くので、心の中で整理して流してあげる必要があります。

具体的にどうすれば良いのか考えて行きます。

認知行動療法

認知療法とは下の図のように、出来事に対し、その人の思考/認知や考え方により感情が生じ、その感情により行動(体の変化)が起こると言うものです。

したがって、考え方を変えて、行動を変える事で感情をコントロールしようと言うのが、認知行動療法と呼ばれる心理療法です。

例えば、カエルを見つけた時に、「かわいい」と思う人は、嬉しくなって捕まえに行きますし、嫌いな人は、気持ち悪いと思って逃げるでしょう。行動も全然違ってきます。

同じカエルを見ても、「かわいい」と思う人と「気持ち悪い」と思う人がいます。認知は人によって全く違うのです。

行動を変える

怒りがこみ上げたら、深呼吸しながら6秒数えてやり過ごす。意識してゆっくり話すと怒りが抑えられると言われています。

いずれも、科学的に実証されていて、前頭葉で理性が働くまでにはやはり時間がかかる。交感神経と副交感神経のバランスで交感神経が活発になり、アドレナリンが放出され,心拍数が上がり、呼吸と言葉も早くなるので意識的に抑える。そうすると怒りの程度も低減されます。

深呼吸をするのと、意識してゆっくり話すのはまさしく認知行動療法の行動を変えるにあたります。

6秒数えてやり過ごすのは行動ではありますが、怒りの感情から発生した行動ではありません。しかし、理性が働くまで待つと言うのは理にかなっています。

似たような対応で、その場を離れる。あるいは、自分自身を客観視する(自分を俯瞰する)のも効果的と言われています。

ただ、これは、怒りを意識的に押さえつけただけで、心の中で整理したことにはなりません。イライラが体の中に蓄積されて行くので、心の中で整理して流してあげる必要があります。

考え方/認知を変える

感情は、すべて自分の思考/認知によるものなので、「あいつが悪い」「社会が悪い」と外に怒りを向けている限りコントロールは出来ません。

怒りは、自分が感じているのですから、過去を振り返り、自分の怒りの傾向を把握することが大切になります。

アンガーマネージメント診断と検索すれば色々出て来ますので、その診断を参考にしてもいいでしょう。診断結果に違和感が有る場合は、親しい人の意見も参考にすることも大切ですが、最後は自分の納得いく理解をすることが大切だと思います。

怒りの傾向が把握出来たら、その時の自分の認知、考え方が、どうだったのか、振り返りましょう。分かりやすく言えば、何に対して、どうして、腹が立ったのでしょう?

改めて考えると、それは、あなたにとって、怒るような問題だったのでしょうか?それ程重要な問題でしたか?あるいは、あなたが怒ることによって、変えられるような事でしたか?

怒りの感情が‟スッ”と消えるイラっとしない思考術 日本アンガーマネージメント協会 代表理事 安藤俊介 より 筆者が作成

怒りは、本来、何か危険を察知しているとも言えます。その危険の重要度、自分で変えられる、変えられないを改めて見直し、自分の中の許せない領域を出来るだけ狭くして、境界を意識する事が大切になります。そのことを上記の図は示しています。

そんなこと言っても頭にきている時にそんな冷静に考えられないよ

はい、その通り、ただし、自分の怒りの傾向が分かれば、似たようなケースで応用が出来るようになり、来た来た、と思えるようになります。

参考図書:怒りの感情が‟スッ”と消えるイラっとしない思考術 日本アンガーマネージメント協会 代表理事 安藤俊介 

怒りの原因(認知の原因)を知り、上手に処理をする

1次感情、2次感情、そもそも、怒りの原因は何?

心理学では怒りは二番目に出てくる感情で、実は、怒りよりも前に生じている感情がある。と言われています。

例えば、子供がなかなか帰ってこないので、イライラし、帰ってきた子供の顔を見た瞬間に、「何時だと思ってるの」と怒鳴ってしまうような場合、子供に何かあったか心配していたので、顔を見た瞬間、その思いが、心配させた相手に向かって爆発したのが怒りです。

この場合、怒りは2次感情で、1次感情は心配です。

怒りにつながる1次感情は 悲しさ、寂しさ、恥ずかしさ、不安、困惑、恐れ 、落胆・・といった ネガティブな感情が裏に有っても怒られた側は怒りの方だけが伝わりがちです。

怒りがこみ上げたら、最初に記載したような方法で、少し間をおいて、本当に伝えたい気持ちである1次感情を適切な言葉で伝えるのが良いと言われてます。

ただ、実際は、カッカしていますので、難しいですよね。怒ってしまった後に、色々、フォローするつもりで深みにはまる事は良くあります。

そんな時、上辺だけのフォローするのではなく、怒った後にでも1次感情を素直に伝えるのが良いと思います。子供の場合なら、「何時だと思ってるの、心配してたんだから」です。

自分が怒ってしまった時の1次感情は何だったのかその場では良く分からない場合もあります。1次感情が一つではなく、複数あったり、言語化出来ないような場合です。

上手く、感情が言葉にできない時は、怒ってしまった後でも、感情表現を表す言葉等を見ながら、しっくりくる言葉を探すことも大切だと思います。

怒りは、人間関係を悪化させるだけでなく、ため込むと自分も精神的にも肉体的にも傷つきます。怒りを受け止めるには、怒りの原因が理解出来ていないと『モヤモヤ』だけが残り、思い出しただけでまた怒りがわいてきたりします。納得出来ていないからです。

無理に理由付けをして、納得しようとしても状況は好転しません。怒ってしまったことはもう取り返しがつかないので仕方がありません。自分の中で、たまらないように、しっかり受け止め、納得することが大切になります。

自分で振り返ると、どういった時に自分は怒りやすいのか分かってきます。瞬間的に1次感情が上手に伝えられなくても、次の似たようなケースで上手く伝えられるようになります。何事も練習です。

本当の怒りの原因は?

「モヤモヤ」が残る場合、本当の原因は別にあります。

例えば、自分の中での認めたくない部分が原因だったりします。

なぜか相手に言われた一言で非常に頭にきたときに、彼は私を馬鹿にしている。その為、自分は悲しくなって怒ったんだ。と思っても、しっくりこない。冷静になってみると、そんなに怒るような事ではなかった。なんていう場合、自分が彼の事を馬鹿にしているのが原因だったりします。

また、別の人に抱いている嫌な感情を表現できないでいると、違う人にぶつけてしまうような事もあります。

あるいは、長年、抑圧し、無意識の中に押し込めて抑圧されていたものが、何かのきっかけで噴き出たものかもしれません。

また、怒っている人を見ると自分が怒られている訳でもないのに嫌な気持ちになりますよね。そんな時は些細な事でも怒りっぽくなってしまいます。

また、自分の中の嫌な部分を相手の中に見つけたような場合、必要以上に腹がたったりします。

こちらが期待した通りにならないとイライラしますよね。仕事で上手く行かなくてイライラするのも、あなたが期待している通りに物事が進まないからと考えられます。極論、期待をしなければ怒りも生じません。

徒然草の『よろづの事は頼むべからず』あるいは『諸行無常』です。なかなか、その境地には行けないでしょうが、私の場合、そもそも、相手に期待しているのは、自分が勝手に期待しているだけ。と思ってから残念と感じる事はあっても、「イラっ」とすることは少なくなったと思います。

正の怒りと負の怒り

「ちいさなことにイライラしなくなる本」 マガジンハウス 大嶋 信頼著 になるほどね。と思った考え方が記載されていたので紹介します。

負の怒りとは?

「周りの環境を破壊して、自分が受け入れられる環境を新たに創造するもの」「正しい/間違っている」で怒ったり、「相手のため、社会のため、誰かのため」に怒っているのならそれは”負の怒り”です。

正の怒りとは?

「自分を”危険”から守ってくれるもの」で自分を中心に怒りをとらえるもの。

負の怒りを正の怒りに変換するのが良く、その為には、「この怒りは何の危険を察知しているの?」と自分に問いかけるのが良い。と本書では紹介されています。

夫が女性の同僚とメールを交換してることを知った奥さんが「自分にどんな”危険”が有るのだろう?」と怒りと向き合っていると「私の心を傷つけるような夫は信頼できないから危険を感じている」という考えが浮かんできます。

その次の瞬間に「自分の心が傷ついて、その傷が埋まっていない事を夫に伝えなければ」と決意することが出来ます。これを実行することで、ただ相手を責め立てるだけだった”負の怒り”の連鎖とは全く違った展開が起きます。

小さなことにイライラしなくなる本 大嶋 信頼 マガジンハウス P180より

”正の怒り”を習慣にしていると、自分にとって大切な人に怒りを感じた時に、「どうして私の事を分かってくれないの!という”負の怒り”を発散させる代わりに「あなたの事を信じたいの!」という”信頼関係”を深めるための”正の怒り”を相手にきちんと伝えることが出来ます。

一方、”正の怒り”を伝えた相手が、あなたの事を「めんどくさい相手だ」と感じて離れてしまう事もあり得るでしょう。それならそれで構いません。その相手はあなたにとっても、”信頼関係”を深めるに値する相手ではなかったという事です。

小さなことにイライラしなくなる本 大嶋 信頼 マガジンハウス P182~P183より

まとめ

  1. 深呼吸しながら6秒間待ってゆっくり話す。
  2. 可能ならその場を離れたり、自分を客観視する。
  3. 過去を振り返り、自分の怒りの傾向を知る。
  4. その時の自分の考えを振り返り、それ程、重要な事だったのか、自分で変えられるような事なのか振り返り、許せない領域を狭くし、境界を意識できるようにする。
  5. 怒りは2次感情で、怒りに先立って起こるネガティブな1次感情がある。
    • 1次感情を適切な言葉で相手に伝えるのが望ましい。
    • 「モヤモヤ」が解消されない場合は本当の原因は別にある。
  6. 相手の攻撃に向かう”負の怒り”と自分を中心に怒りをとらえる”正の怒り”がある。
    • 負の怒りを正の怒りに変換することが大切である。
    • その時には「 負の怒りを正の怒りに変換するのが良く、その為には、「この怒りは何の危険を察知しているの?」と自分に問いかけるのが良い

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