やる気を引き出すにはシステムづくりも必要
部下のやる気を引き出すには相手の思いをしっかり傾聴して受け止めて、コミュニケーションではほめるより部下の成長に目を向けて勇気づけを行う事が大切です。
マネージメントでも叱る時は、相手の行動をしっかりと指摘し、また、大きな目標は「出来る」「出来ると思える」小さな目標をに分解し、沢山立てて、行動の後、極力早く勇気づけを行うことの大切さを紹介しました。
しかし、心理面に着目して個別に対応しても、仕事をしていく上では仕組み作り(システム化)もやはり必要です。
就業規則や人事評価システム、あるいは作業標準書などでも、納得できず、自分の意見も反映されなければやる気はやはり削がれますよね。
心理面では部下一人一人に応じたオーダーメイドで対応できるし、そうするべきですが、システム化するとなるとそうはいきません。
従って、システムには多くの人が納得するような公平感、透明性、といった物が大切になると思っています。
行動科学マネジメント、望ましい行動を強化する。
行動科学マネージメントとは?
ダイエット中の女性が、目の前のケーキを食べてしまうのは何故か?ケーキを食べればすぐに甘くておいしいと思えるからです。食べることによって、太る事はあっても、確実に太るわけではないですし、一口食べた瞬間に太るわけでもありません。
好ましくない行動をやめさせようとすれば、好ましくない結果(叱るなど)も効果があります。ただし、やらされ感が出るので、叱る人がいなければ行動が復活したりするので良くない方法です。
好ましい行動を強化するのが、自然とその行動を行いたくなるので、やる気につながる。行動が習慣になれば継続性が出るという事です。
短期間で組織が変わる行動科学マネジメント 石田淳 ダイヤモンド出版 より、筆者が要約
ポイントは標準行動を明確にすることです。行動は測定できるものでなければなりません。それでないと測定できないからです。
パフォーマンスに直結する標準行動
IEでは無理、ムダ、ムラをなくす。といった観点でみますが、パフォーマンスを上げる行動といった点では普通は考えないでしょう。
ハイパフォーマーをベンチマークとし、行動をくまなく分析し、効果に直結する行動を特定し、極力具体的に、数値化出来るものは数値化してパフォーマンスの直結する行動を特定することが上司の非常に大切な仕事である。としています。標準行動はチェックリスト化して横展開することを参考図書では進めています。
これは、標準行動を強化し結果に結びつけるだけでなく、人事評価にも標準行動といった透明性が有り公平感が出る。といった観点でも有効であるとしています。
一方、管理職や、スタッフ、経営者など、行動で評価出来ない職種はどうすれば良いのでしょうか?行動科学マネージメントでは、目標、および、そこから展開する、KPI(Key Performance Indicator)KSF(Key Success Factor)を明確にすることを推奨しています。
これに関しては個人的には結果にどれだけ直結するか?とKSF自身が抽象的な部分も出てくるので、どれだけ有効に使えるか?と思っています。
自工程完結
自工程完結を別の書籍で知った時には、品質は工程で作りこむの方針のもと、次工程に不良品を流さない。といった事かと勝手に解釈していました。
しかしながら、トヨタの自工程完結 佐々木眞一 著 ダイヤモンド出版社を読み、自分の理解の浅さを恥ずかしいと思いました。
自己工程完結の意義
単純に品質は工程で作りこむ、後工程には不良は流さないといった浅い物ではなく、仕事全般にかかわり、従業員のモチベーションもアップし、業務効率も上げる、非常に奥が深い内容です。
まさしく、この記事でも冒頭で述べた心理的な事が反映されていると思います。それを実際に具現化したシステムという事になります。
具体的にどうするのか?
そもそも、誰のために(お客様は誰)、何のために(目的は)、一所懸命やったことはすべて無駄にしないで成果に結びつける。その為に必要な良品条件(良い物が出来る条件)を整備し、判断する基準を作る。といった考え方です。
当然、目的、目標が間違っていたらすべてが上手く行きませんのでその正しさを確認する事が前提になります。
是非、トヨタの自工程完結 佐々木眞一著 ダイヤモンド出版社を読んでいただければと思います。
個人的な所見
行動科学マネージメント、自己工程完結とも心理学的な裏づけもあるシステムです。両方とも単なるマニュアル作りではありません。パフォーマンス向上のための業務改善そのものだと思います。
このような改革を社内で実施するには、初めは時間だけとられ、本当に効果が有るのか?と懐疑的な人も出る中、成果が出ると信じて進むしかありません。トップのやる気と真剣度が大切になると思います。
また、クリエイティブな作業にはシステム化は向かないという方は必ず出て来ます。確かにそういった面は有ります。しかし、100%クリエイティブな仕事はありません。
ひらめいた!と思っても、一見、関係のない過去の経験が頭の中でつながっただけです。必ず過去の仕事を参考にしています。その辺りの認識は必要だと思います。
また、これからはAIの時代とも言われますが、AIや自動化は、そもそも業務が整理されているのが前提になるのでそのためにも大切な考えだと思います。
そもそも、AIは与えられたデータや与えたアルゴリズムの中で答えを見つけるものですので、与えたデーターの中に解がなかったり、アルゴリズムが違えば使えない結果が出てくるだけです。
両方とも私は実施したことはりませんが、チーム内で仕事の進め方を属人化から標準化した際の経験からコメントを致しました。
まとめ
- 部下のやる気を引き出すには、心理的な面だけでなく、給与や人事評価、仕事の進め方などのシステムも有効に機能している事は必要
- システムは個々人に合わせる訳にはいかないので、多くの人が納得する透明性、公平性が大切になる。
- 部下のやる気を引き出す仕事の進め方のシステムとして行動科学マネージメント、トヨタの自己工程完結の考え方が参考になる。
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