部下のやる気を引き出すシステム。行動科学マネージメント、トヨタの自工程完結の紹介です。

チームマネージメント

やる気を引き出すにはシステムづくりも必要

上記の図の説明
  1. やる気をき出すには人事評価や給与システム、仕事の進め方などのシステムが有効に機能している事が大切である事を示しています。
  2. しかし、システムが有効に機能するためには、マネージメントが有効に機能し、その為にはコミュニケーションが機能し、コミュニケーションが有効に機能するにはそもそも、信頼関係が構築されている事が大切であることを示しています。
  3. 赤字は、心理面で注意することを示しています。

部下のやる気を引き出すには相手の思いをしっかり傾聴して受け止めて、コミュニケーションではほめるより部下の成長に目を向けて勇気づけを行う事が大切です。

マネージメントでも叱る時は、相手の行動をしっかりと指摘し、また、大きな目標は「出来る」「出来ると思える」小さな目標をに分解し、沢山立てて、行動の後、極力早く勇気づけを行うことの大切さを紹介しました。

しかし、心理面に着目して個別に対応しても、仕事をしていく上では仕組み作り(システム化)もやはり必要です。

就業規則や人事評価システム、あるいは作業標準書などでも、納得できず、自分の意見も反映されなければやる気はやはり削がれますよね。

心理面では部下一人一人に応じたオーダーメイドで対応できるし、そうするべきですが、システム化するとなるとそうはいきません。

従って、システムには多くの人が納得するような公平感、透明性、といった物が大切になると思っています。

行動科学マネジメント、望ましい行動を強化する。

行動科学マネージメントとは?

パフォーマンスマネジメント 島宗 理 米田出版 から 筆者が作成

ダイエット中の女性が、目の前のケーキを食べてしまうのは何故か?ケーキを食べればすぐに甘くておいしいと思えるからです。食べることによって、太る事はあっても、確実に太るわけではないですし、一口食べた瞬間に太るわけでもありません。

好ましくない行動をやめさせようとすれば、好ましくない結果(叱るなど)も効果があります。ただし、やらされ感が出るので、叱る人がいなければ行動が復活したりするので良くない方法です。

好ましい行動を強化するのが、自然とその行動を行いたくなるので、やる気につながる。行動が習慣になれば継続性が出るという事です。

行動科学を応用したやる気の引き出し方
  1. 目標は出来るだけ具体的に、観測できるように数値化する
  2. 大きな目標は達成できる小さな目標に切り分ける。
  3. 目標、パフォーマンスに直結する望ましい行動を標準行動とする。
  4. 標準行動の実施状況を測定する。
  5. 測定結果をFeed Backする。(グラフなどの見える化)
  6. 本人が望むものをすぐに与える。(ご褒美)、行動を強化する。
  7. ご褒美は初めは頻繁に行うのが良いが、ある程度たてば、ポイント、ポイントで行う。

短期間で組織が変わる行動科学マネジメント 石田淳 ダイヤモンド出版 より、筆者が要約

ポイントは標準行動を明確にすることです。行動は測定できるものでなければなりません。それでないと測定できないからです。

パフォーマンスに直結する標準行動

IEでは無理、ムダ、ムラをなくす。といった観点でみますが、パフォーマンスを上げる行動といった点では普通は考えないでしょう。

ハイパフォーマーをベンチマークとし、行動をくまなく分析し、効果に直結する行動を特定し、極力具体的に、数値化出来るものは数値化してパフォーマンスの直結する行動を特定することが上司の非常に大切な仕事であるとしています。標準行動はチェックリスト化して横展開することを参考図書では進めています。

これは、標準行動を強化し結果に結びつけるだけでなく、人事評価にも標準行動といった透明性が有り公平感が出る。といった観点でも有効であるとしています。

一方、管理職や、スタッフ、経営者など、行動で評価出来ない職種はどうすれば良いのでしょうか?行動科学マネージメントでは、目標、および、そこから展開する、KPI(Key Performance Indicator)KSF(Key Success Factor)を明確にすることを推奨しています。

これに関しては個人的には結果にどれだけ直結するか?とKSF自身が抽象的な部分も出てくるので、どれだけ有効に使えるか?と思っています。

参考図書
  • パフォーマンスマネジメント 島宗 理 米田出版
  • 短期間で組織が変わ行動科学マネジメント 石田淳 ダイヤモン出版

自工程完結

自工程完結を別の書籍で知った時には、品質は工程で作りこむの方針のもと、次工程に不良品を流さない。といった事かと勝手に解釈していました。

しかしながら、トヨタの自工程完結 佐々木眞一 著 ダイヤモンド出版社を読み、自分の理解の浅さを恥ずかしいと思いました。

自己工程完結の意義

自己工程完結の意義
  1. 「目的・ゴール」を明確にすることで、お客様(社会)の役に立っている。と思える。つまり、仕事の意義のようなものが実感できるので従業員のやる気につながる。
  2. 毎回、お客様が直接感謝してくれることはあり得無い。なので、自分の仕事の良し悪しが自分で判断できることが大切。
  3. 従業員が頑張っているのにそれが結果につながらない。それは、おかしい。がんばったら必ず結果につながるような仕事の進め方を考えないと、従業員は浮かばれない。

単純に品質は工程で作りこむ、後工程には不良は流さないといった浅い物ではなく、仕事全般にかかわり、従業員のモチベーションもアップし、業務効率も上げる、非常に奥が深い内容です。

まさしく、この記事でも冒頭で述べた心理的な事が反映されていると思います。それを実際に具現化したシステムという事になります。

具体的にどうするのか?

自工程完結は具体的にはどうすれば良いか?
  1. 仕事の目的、目標の正しさを確認する。
  2. その為の製造プロセスを設計し、それ以上細かくできないというレベルまで要素作業を展開する
  3. 要素作業ごとに、正しく意思決定するのに必要な物(良品条件)を紐づける。
  4. 良品条件とは、必要な情報、能力要件、過去の失敗例、方法、道具である。
  5. 要素作業ごとに、良し悪しが判断できる判断基準を明確にする。
  6. 判断基準は関係部署も含めた関係者で共有する。

そもそも、誰のために(お客様は誰)、何のために(目的は)、一所懸命やったことはすべて無駄にしないで成果に結びつける。その為に必要な良品条件(良い物が出来る条件)を整備し、判断する基準を作る。といった考え方です。

当然、目的、目標が間違っていたらすべてが上手く行きませんのでその正しさを確認する事が前提になります。

是非、トヨタの自工程完結 佐々木眞一著 ダイヤモンド出版社を読んでいただければと思います。

個人的な所見

行動科学マネージメント、自己工程完結とも心理学的な裏づけもあるシステムです。両方とも単なるマニュアル作りではありません。パフォーマンス向上のための業務改善そのものだと思います。

このような改革を社内で実施するには、初めは時間だけとられ、本当に効果が有るのか?と懐疑的な人も出る中、成果が出ると信じて進むしかありません。トップのやる気と真剣度が大切になると思います。

また、クリエイティブな作業にはシステム化は向かないという方は必ず出て来ます。確かにそういった面は有ります。しかし、100%クリエイティブな仕事はありません。

ひらめいた!と思っても、一見、関係のない過去の経験が頭の中でつながっただけです。必ず過去の仕事を参考にしています。その辺りの認識は必要だと思います。

また、これからはAIの時代とも言われますが、AIや自動化は、そもそも業務が整理されているのが前提になるのでそのためにも大切な考えだと思います。

そもそも、AIは与えられたデータや与えたアルゴリズムの中で答えを見つけるものですので、与えたデーターの中に解がなかったり、アルゴリズムが違えば使えない結果が出てくるだけです。

両方とも私は実施したことはりませんが、チーム内で仕事の進め方を属人化から標準化した際の経験からコメントを致しました。

まとめ

  • 部下のやる気を引き出すには、心理的な面だけでなく、給与や人事評価、仕事の進め方などのシステムも有効に機能している事は必要
  • システムは個々人に合わせる訳にはいかないので、多くの人が納得する透明性、公平性が大切になる。
  • 部下のやる気を引き出す仕事の進め方のシステムとして行動科学マネージメント、トヨタの自己工程完結の考え方が参考になる。

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