特許 商標 意匠 の違い
それぞれ、対象とするもの、商標と意匠の違いは分かりにくいですが保護する対象が違います。商標がロゴ/ブランドに対するもので、意匠は量産可能な製品が対象になります。
商標は使用して行くにつれて信用が上乗せされ価値が高まっていくので10年毎に更新することで半永久的に使用できますが、特許/意匠は産業発展のため期限が決められています。
特許同様、独占的排他権が得らえます。また、検証可能ですので意匠で権利化出来ると非常に強力な武器になります。、
先願主義(同じ内容なら出願の早い方に権利を与える。)であり、実体審査がある事は共通ですが、特許は審査請求が別途必要になります。
外国で権利化する場合は外国出願が必要になり国内優先権も共通していますが、主張できる期間は特許が12カ月なのに対して、商標、意匠は6カ月です。
特許庁のH.Pを参考に記載。
意匠の種類
部分意匠
意匠はその製品の外観だけでなく、部分についても取得できます。部分的な意匠を権利化することで、他の部分は異なっても抑えられることになり、事実上、権利範囲を広げることになります。
組物の意匠
同時に使用される二以上の物品であって経済産業省令で定めるもの(「組物」)を構成する物品に係る意匠は、組物全体として統一があるときは、一意匠として出願をし、意匠登録を受けることができます(意匠法8条)。
関連意匠
先願主義が有ると、一のコンセプトから多くのバリエーションの意匠が継続的に創作される場合、保護出来ないため、先願主義の例外として、同一人の出願で10年以内であれば認めようという物。
動的意匠
動的意匠制度とは、物品の形状等がその物品の機能に基づいて変化する場合に変化の前後にわたる形状等について意匠登録を受けることができる制度をいいます。動的意匠の出願をする際には、変化の前後が分かるような図面を提出することが必要です。
特殊な制度の利用 | 特許業務法人 三枝国際特許事務所[大阪・東京] SAEGUSA & Partners [Osaka,Tokyo,Japan] – Part 6 (saegusa-pat.co.jp) より
秘密意匠
出願人が指定した登録日から一定の期間(最長3年間)、登録意匠の実体部分を公報に掲載せずにそれを秘密にすることで登録意匠が知られることを防止できます。
しかし、デメリットとしては、登録した意匠と偶然にも同一または類似の意匠が使用された場合、訴訟になった際に相手方が登録意匠を故意または過失により模倣して使用しているという推定が働かなくなります。この推定が働かないため、予め警告する必要があり、故意や過失を原告側が証明する必要があります。
意匠の登録要件
新規性(類似性)
物品の同一・類似
物品等の類似とは、「用途が共通し機能が異なるもの」を言うとされています。例えば、シャープペンシルとボールペンは、筆記用具という用途では共通し、その機能は異なるため類似物品とされます。
r2_isho_manual_all.pdf (tokyo-kosha.or.jp) 中小企業経営者のための意匠マニュアル 東京都知的財産総合センターより
つまり、まったく同じデザインでも用途が違えば、意匠上、新規性はある。(同一品、類似品ではない。)とみなされます。
物品は意匠出願の際に分類を記載する必要が有ります。詳しくは以下の特許庁のサイトを参照ください。
形態の同一・類似
用途が類似であれば、次に形態(デザイン)が同じか、類似かを見ることになります。
意匠の登録要件(新規性・創作非容易性)橋本商標特許事務所 (hashimoto-ip.com)によれば特許庁の審査基準には、意匠の類否判断は以下の手法で行うと書いてあります。
① 対比する両意匠の意匠に係る物品の認定及び類否判断
② 対比する両意匠の形態の認定
③ 形態の共通点及び差異点の認定
④ 形態の共通点及び差異点の個別評価
⑤ 意匠全体としての類否判断
①はすでに記載しましたので形態の同一・類似は②の形態の認定を行う事になります。形態の認定とはデザインの構成要素をまずは特定しようというものの様です。
個々の構成要素毎に違いを明確にして類似性を判断するようですが、結局⑤で意匠全体としての類似判断となり、結局総合的に判断されるとなります。
特許の場合、構成要素に違いがあれば非抵触ですが、意匠の場合、違いが有っても類似しているという素人から見ると非常に曖昧な基準しかないように見えます。
類似判定はしっかりした専門家に判断してもらう必要がありそうです。
創作非容易性
出願時を基準にして、日本または外国で公然知られた形状、模様等に基づいて、容易に創作できた意匠は登録を受けることができません。創作性の低い意匠は保護価値がないばかりか、独占権を付与すると権利が乱立し、かえって産業の発達を阻害することになるからです。
以下のような意匠は登録できません。
①置換の意匠
公知意匠の特定の構成要素を当業者にとってありふれた手法により他の公知意匠に置き換えて構成したにすぎない意匠
②寄せ集めの意匠
複数の公知意匠を当業者にとってありふれた手法により寄せ集めたにすぎない意匠
③配置の変更による意匠
公知意匠の構成要素の配置を当業者にとってありふれた手法により変更したにすぎない意匠
④構成比率の変更または連続する単位の増減による意匠
公知意匠の全部または一部の構成比率や公知意匠の繰り返し連続する構成要素の単位の数を、当業者にとってありふれた手法により変更したにすぎない意匠
⑤「ほとんどそのまま」表したにすぎない意匠
公知の形態を当業者にとってありふれた手法により、ほとんどそのままの物品の形態に表した意匠
⑥商慣行上の転用の意匠
非類似の物品の間に当業者にとって転用の商慣行がある場合において、転用された意匠
意匠の登録要件 | 特許業務法人 三枝国際特許事務所[大阪・東京] SAEGUSA & Partners [Osaka,Tokyo,Japan] – Part 3 (saegusa-pat.co.jp)より
意匠の調査方法
特許庁の関連ページを紹介します。
まとめ
- 商標はロゴ/ブランドマークの保護なのに対して、意匠は工業製品のデザインを保護する知的財産権です
- 特許と同じ独占的排他権を持つ上に、外観(パットした見た目)で侵害しているかしていないかがすぐにわかるため、非常に強力な権利とも言えます。
- 意匠は製品全体のデザインだけでなく、部分的なデザインであったり、二つ以上の物品で全体として統一感がある時は意匠として認められることが有ります。
- 特許と似たような要件として新規性(類似性)創造非容易性が有ります。
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