効果的なデザインレビューの進め方。大切なポイント。6選。

デザインレビュー

デザインレビュー

デザインレビューの目的

技術的な何故を開発メンバーで協議しておく事が必要で、それが一番大きな目的です。

 実務上はデザインレビューの結果を開発計画にまとめる事。開発計画を関連部署に説明し、合意を得て開発を進める事になります。

  関連部署に説明し、レビューを行い、進め方の合意を得るのをデザインレビューと呼ぶ方も多いと思いますが、その場合は、製造なり、品質保証なり、営業の観点の議論になり、技術的な深いレビューは出来ません。

 なので、まえもって、設計/開発のメンバーで徹底的に、その設計の根拠、技術的な内容を深く議論することが大切になります。

参加メンバー

開発メンバ(少人数、最低2人、決裁者の出席は必須)で詳細なレビューを行う。

 参加メンバーを絞り、少数で有効な議論をするのが大切です。他部署メンバーとプロト機/予察評価を共同で実施したような場合は当然、他部門のメンバーも参加してもらう必要があります。

デザインレビュー内容

レビュー内容
  • 要求項目からの要素技術/開発目標の進捗状況
  • 過去の不具合対策が反映されているか?
  • 他社特許の抵触有無、特許戦略の明確化
  • マージン評価
  • 量産性評価(品質/コスト/納期)
  • リスク評価

要求項目から要素技術/開発目標の進捗状況

  • 要素技術の進捗状況確認。
  • 開発目標の達成状況(達成/未達)
  • 問題点の特定と修正。

過去の不具合対策が反映されているか

 この場合、設計上のレビューですので、具体的に物理、化学的な事が原因で発生した不具合について、確実に対策が盛り込まれているかレビューすることになります。

過去の不具合も、物理的な、あるいは化学的な現象と、人の行動と、仕事の進め方に分けて、原因を追究し、一般的な、他の分野に応用できるような形でまとめておく必要があります。そうしないと、当該の問題にしか対応できず、応用範囲の狭い物になります。

詳しくは以下の記事を参照ください。

他社特許の抵触有無、特許戦略の明確化

  • 製品開発の場合は必須
  • プロセス開発の場合は侵害検証の可能性は少ないので必須ではない。

マージン評価

●材料加工の場合

 例えば、研磨の場合には加工圧力やスラリー濃度、PAD寿命、研削の場合は砥石の押し込量、砥石寿命等、量産時に管理幅を設定する必要がある項目のマージン評価結果、

 また、特性がそのパラメーターに感度があるのは何故か?その原因まで深堀することが大切です。何故なら、パラメーターの感度は状況が変われば変わることは良くある話で、その時に深堀が出来ていないと、何を、どう考えればよいのか、手が出なくなるためです。

●組み立て加工品の場合

 過負荷評価(シミュレーション)やプロト機での評価(振動試験 etc)

量産性評価(品質/コスト/納期)

  • 開発コンセプトに基づいて量産性の評価を行う。
  • 他部署と協議をするための原案を作成する。
  • 本格的な検証は他部署を巻き込んだ量産設計の所で検証していくことになる。

 組み立て加工の場合、既存の製品と部品/技術の共有化が図れているかのチェックが必要。コストだけでなく、納期(デリバリー)に大きく影響します。

リスク評価

デザインレビューの段階では、新規に追加した項目(開発した項目)に関して重点的に、重大クレームにつながる原因をFTAやロジックツリーの考え方で協議し、レビューする事が大切です。

また、過去の不具合を一般化、上位概念化し、未然防止に使える形にして置き、これが設計に反映されているかレビューすることが大切です。

これをリスク評価と呼べば、このようなリスク評価は必要だと思います。

 ISO上は、リスク評価を各ステージで実施するように要求されています。ただ、デザインレビューの段階で細かなFEMAなどを実施しても、その後、細かな所は変わっていくのであまり意味が有りません。制約事項、あるいは市場から退場をせざる負えないノックアウト要因があるのなら開発の前提条件、制約事項、要望事項として洗い出しておくべきで、リスク評価とは異なります。

 デザインレビューの段階では、その設計そのものが、重大クレームや、制約事項に対して適切かのレビューを行う事が大切となります。

一方、量産前にはFTAとFMEAを組み合わせたような詳細なリスク評価は絶対に必要です。

その段階では、量産化を見据えた管理方法の検討段に入っているので、具体的に、管理方法にリスク評価の結果が反映できるので、非常に有効です。

デザインレビューで心がけるべき大切な事、6選

 開発の目的を達成できると自信が持てる。行けそうだと思えることが大切です

 そうでなければ、人の意見に左右され、議論になりません。自信が持てなければ調査、実験に戻りましょう。

本格検証は、このデザインの検証になりますのでこのデザインレビューで骨組みはほぼ決まります。その為、設計の問題点を想定範囲を広く、感度良く気が付けるようにしておく事が大切です。

私は、下記の6点が必要と感じています。

デザインレビュで心がける事 6選
  1. お客様の使用工程を良く知る。
    • どういった使われ方をしているのか、どういったことが想定されるのか?(社内であれば協議可能だか、お客様であれば協議は実質不可能)
  2. 実績のある問題のない機種との相違点、共通点は何か?使用環境に変化はあるか?
    • 相違点に関して、重点的にレビュー
  3. 重大クレーム、品質トラブルを想定し、設計をレビューする(リスク対応)
    • どうなれば、重大クレーム、あるいは品質トラブルにつながるか?
    • 発生頻度や影響度を考えた時、現状の設計で十分か?
  4. 過去の不具合を一般化、上位概念化して未然防止に使える形にしておく
  5. マージン評価、過負荷評価
    • プロセス開発の場合は技術的な深堀を行う。具体的には、マージン評価、安定性評価にとどまらず、特性がそのパラメーターに敏感なのは何故か?
  6. 量産できる。行ける。と自信が持てる事。(QCDの未通しも含む)

また、デザインレビューは、改まって実施するのは一回で良いでしょうが、同僚や、上司とは非公式な打ち合わせはタイミングをみてどんどん実施する事も大切な事と思っています。

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