相手が何を考えているのか理解することに集中する。
相手の話をよく聞く(議論はその後)
相手の話を聞くのは簡単ではないか?いつも人の話は聞いているという方、振り返ってみてください。相手は自分とは違う考えをを持っている交渉人です。次に何を言おうか?どう反論しようか考えていませんか?
話している間は確かに聞いてるけど、開口一番、貴方の考えはおかしい。などと言っていませんか?
時々、共感的理解が必要だとの趣旨の本も見かけます。心理カウンセリングやコーチングなら別ですが、ビジネスの交渉に共感を第一に考える必要は無いと思います。議論が必要なときに、あの時、分かると言ったじゃないか?と責められかねません。
よく聞く目的は、相手が何を考えているのかをよく理解しないと、適切な交渉の作戦が立てられないからです。作戦が必要ない程度の問題なら、それこそ、自由に話せばよい。
作戦が必要なときには合意点と相違点、当方と考えが違う理由、その根拠(事実)、背景、思い、心配事をよく理解するよう、頑張って聞きましょう。
何を心がければよいか?
私が心がけていることは以下の4点
- 初めから、今日はアクションアイテムは決めない。相手の言うことを理解するのに集中すると決めて話をする
- 相手にも、少し話だけさせて、色々考えたいから意見を聞かせて。と初めに言っておく
- 事前ヒヤリングが出来るのは基本1回だけと思ってよく聞く。
- 「そうゆうこと」でかたずけない。相手の発言を要約して真意を確認する。
何か結論を得なければ、アクションアイテムにつなげなければ。と思いがちです。そうなると聞くことに集中できません。
できれば立ち話が一番いいですが、時間が無いとのことで途中で切り上げなければならないこともあります。話させて、意見を聞かせてといって、時間をもらう方が良いと思っています。
普通は何度も、同じようなヒヤリングは出来ません。この間、話ましたよね。となるのが普通です。話が出来るのは一回だけと思うべきです。
聞くのが大切ですが相手の考えをよく理解するために質問は必要です。自分の考えと違う考えに対しては、真意を確認する必要があります。
ただし、問いただされているように思われると良くないので、「もう少し詳しく教えて。」と相手が答えやすいような形で聞くのが良いです。
詳しくって何を話せば?となったら、相手の言っていることを要約して「○○って理解したけど合ってる?」と聞くのが良いです。結構、自分が思っているのと違っていたりします。「そういうことか」と勝手に納得しない方が良いです。
そう思う理由が話の中からわからなかった時には、「私はそう思わないけど、どうしてそう思うの?」とか「そう思うのには何かあったの?」と聞くようにしています。そうすると色々言ってくれることが多いような気がしています。
傾聴スキル/ペーシングスキル
知っているのと知らないのでは大きな違いがあると思いますので紹介いたします。
コーチングの基礎、日本実業出版社、鈴木義幸監修 コーチ・エイ著より
鏡のように聞けともよく言われます。そう言われると色々出来そうな気がしませんか?
交渉内容を考える
状況整理
自分:ミッション+利害関係者、相手:ヒヤリング内容+利害関係者、社内外の状況、相違点(考え方、要求事項、優先順位、反対理由)/合意済事項/ミッション/強みを整理する。(戦略的交渉入門 田村次郎・隅田浩司 日経文庫 日本経済新聞社 より)
交渉内容を考える。
- 相手の提案、反論の根拠となっている理由やデータに矛盾が無いか?
- 双方の要求事項を満たすためにお互いに出来ることはなにか?
- 説得材料は何か(相手のメリット、自分の強み、社内外の状況)
- ミッションから考えられる代案はないか?
- 議論を想定して、譲れないラインを想定しておく。落とし所は交渉結果に過ぎない(戦略的交渉入門 田村次郎・隅田浩司 日経文庫 日本経済新聞社 より
ミッションから考えるうえで、その問題は今解決しなければならないか?といった事があります。開発が進んで上手くいくと自然に消滅する反対意見も多々あります。本格検証で確認すべきことで色々な意見が出るのなら、まずは開発を進めるのも大切です。
その時には、協力者、特に役職が上の人の協力、賛同が得られると、やはり会社組織では開発が進みやすくなります。
交渉方法を考える。
合意しやすい協議事項から始める。状況に応じて複数メンバー/個々の折衝を使い分ける。
他にも色々考えられる方法が何度か引用させていただいている「戦略的交渉入門 田村次郎・隅田浩司 日経文庫 日本経済新聞社」に詳しく書かれています。
社内での利害調整に関してはP196から記載されております。
集団的浅慮
- 表面的見解一致を偽装する。発言内容より誰が発言したか?全員の顔を立てる危険
- 同調圧力、空気を読む危険
- 外部に対する認識のゆがみ、集団心理
グループダイナミックを発揮する。(集団的浅慮の対処法)
- 少人数の会議が理想、コミットメント力を高める
- 協議事項の管理、
- 集団極性化の回避、少数意見の尊重、反論や批判が出なかった場合はそのアイデアを採用しない。ホワイトボードを攻撃させる。
また、理論が伝わる「議論の技術」倉島保美 BLUE BACKS には、立証責任は重いので、相手に説明させる。相手の説明をよく聞いて、相手の矛盾点を見出し、そこを、質問して行くのが、議論上手。相手の意見を遮って、自論を展開するのは結局、水掛け論になりやすい。との記述もありました。非常に面白い、参考になる考えだと思います。
議論が紛糾したら
イメージを下記の図に示し、説明して行きます。
参考図書:理論が伝わる「議論の技術」、倉島 保美(Blue Backs)
①主張、②その理由、③根拠となる事実、を整理する
対立が激化する場合は、色々な意見が出るので紛糾するので、そもそも、話を整理する必要が有ります。
整理するにはまず、お互いの主張とその理由、根拠となる事実を整理します。主張、その理由は違ってしかるべきですが、事実は一つです。
なので、まずは、事実を再確認し、前提を合わせましょう。どちらかが、事実誤認をしていただけ。という場合もあります。そんな場合は、事実を再確認するだけで簡単に合意できたりします。
主張や理由はなぜ自分の考えと違うのか?その辺りを知ろうとして話すことが大切です。しかし、分からない場合は相違点としてとらえておく、一旦、議論をするのはやめるのが大切です。
ミッションから合意できる所を確認する
事実確認が終了し、主張、その理由から相違点が明確になったら、次に共通のミッションの再確認です。ミッションを再確認するだけで、双方の主張を包括する案が出てきたりします。
具体的なメリット/デメリットで協議する。
そこまで、合意が出来たら、相違点の協議になりますが、その主張、理由をその考えはおかしい、等といった議論になるとその人の価値観によるところもあるので平行線になりやすいです。
それよりは、双方の主張を実施した場合のメリット/デメリットを明確にして、一番効果的と思われる案を関係者で協議するのが大切だと思います。
まとめ
- 相手のが何を考えているのか理解することに集中する。
- 交渉内容を考える。
- 相手の提案、反論の根拠となっている理由やデータに矛盾が無いか?
- 双方の要求事項を満たすためにお互いに出来ることはなにか?
- 説得材料は何か(相手のメリット、自分の強み、社内外の状況)
- ミッションから考えられる代案はないか?
- 議論を想定して、譲れないラインを想定しておく。落とし所は交渉結果に過ぎない。
- 交渉方法を考える。
- 合意しやすい協議事項から始める。
- 状況に応じて複数メンバー/個々の折衝を使い分ける。
- 議論が紛糾したら
- 合意点、相違点を明確にした上でメリット/デメリット、ミッションから考えられるベストの案を考える
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