傾聴とは?
傾聴とは?と聞かれたら、人の話をよく聞くという事だろう。と思われている方。過去の私も含めて、人の話をよく聞く=人の話を最後まで聞く事。話を途中で遮らない事。と思っている方がほとんどではないか?と思います。
会話にも 単なる雑談や情報交換、仕事での議論、利害関係がともなう交渉、あるいは、物を教える、教わる。主張する、など色々あります。
上記のようなことはケースバイケースで必要な事もあるでしょう。自分の話で場が盛り上がったり、アドバイスが相手に共感されれば感謝される場合もあるでしょう。自分から主張したり、教える事が必要な場合も当然あります。
すべての会話で傾聴が必要なわけではありませんが、悩みを相談された場合等、相手の思いや苦悩を十分に理解しなければならないような場面では、上記のような会話では十分に聞いたとは言えません。
傾聴といっても、質問や、返答はしますが、それは、相手の事を理解しようとするための質問や返答になります。
信頼関係を構築する傾聴
傾聴は相手に「気づき」を与え、自己理解を深めるのに役立つだけでなく、お互いの信頼関係を構築するのに非常に役立ちます。
傾聴は、信頼関係構築のための基本です。
傾聴を図式化したのが上記の図です。
傾聴する上で、聞く側に求められる態度として、受容、共感、自己一致が大切と言われています。
聴き手が受容、共感、自己一致の状態でいて、なおかつ、それが相手に伝わると、大きな安心感を相談者は感じることになります。
考えてみてください。自分で自分の事を受け入れられて、心から自分に共感出来、思っている自分と実際の自分が一致していれば悩みなんかなくなるはずです。
聞く側も相手の理解が深まり、信頼関係が構築されることになります。
受容、共感、自己一致に関しては別途記事にしています。良ければご覧ください。
傾聴は言葉のキャッチボールではありません
傾聴は言葉のキャッチボールではありません。
聞き手は壁打ちの壁、鏡です。
傾聴は言葉のキャッチボールではありません。良く言われている事ですが聞き手は壁打ちの壁、鏡、と思った方がイメージしやすいです。
壁なので、来た球は、方向を変えず、そのまま返します。強く来た球は強く返します。球を返すとは聞いているよ。というサインを相づちや接続詞(具体的には?他には?、詳しく教えて?それで、はい、続けてください。等)、オウム返しや要約で、相手の言っている事をそのまま返します。
壁ですから、沈黙は共有することになります。なぜ、沈黙を共有することが大切かと言えば、相手のペースを乱すからです。
相手が、自分のペースでゆっくり考えられるよう、ゆっくり考えてもらっていいですよ。等と声をかける事もいいかもしれません。
また、鏡のように聴け。とも言われます。鏡ですからペーシングが大切になります。相手が右手でお茶を飲んだら、左手でお茶を飲む。動作、姿勢、言葉、呼吸を合わせるのが、相手に安心感を与えると言われています。
鏡だと思えば、非言語的な物にも注目せざるを得ません。
質問は、「共感のための情報収集」と「事実関係」
沈黙の共有は大切ですが、会話が止まる時は、聴き手が質問することも必要になります。
そんな時にする質問は、「共感のための情報収集」です。相手の置かれている状況をよく理解したり、相手がどういった理由でそのような考えに至ったのか?最初に書いたように、相手の思いや苦悩を理解するための質問です。
事実関係が客観的に合わない。おかしいと思えば、相手が混乱している、あるいは思い違いをしている、あるいは、強く思い込んでいる可能性があるので、確認の質問をするのは良いと思います。
たとえば、私はいっつも、○○で失敗するんです。と言われたら、この間はちゃんとできていたよ。などと、実際に出来ていた事実があるのなら指摘してあげる。客観的事実を聞いた後で、それに対して、相談者が何を思うか、聞き出すことも大切になってきます、
傾聴で私が気を付けている事。
特に仕事においてですが、全体の会議では個別に深い話はしにくいので1対1で意見を聞くのは誰でもやられていると思います。その際、特に自分と違う考えを持たれている場合には、やはり、相手の真意を理解する必要が有るので傾聴が必要になります。
そんな時、今日は話を聴くだけである事も伝えるようにしています。ビジネスの会話では、それで、どうする。を考えるのが癖になっています。今日は話するだけと思ってもらう事も大切だと思います。
一通り、話を聴いて、聴き足りないと思ったら、もう少し詳しく教えて?と聞きます。詳しくって何を話せば?となったら、相手の言っていることを要約して「○○って理解したけど合ってる?」と聞くのが良いです。結構、自分が思っているのと違っていたりします。「そういうことか」と勝手に納得しない方が良いです。また、「そういう事です」と言いながら表情がすっきりしていない場合は、すっきりしてないみたいだけど?と聞いたりします。そうすると、話をしてくれることが多いと思います。
難しいのは、相手が自分の考えを十分に説明する前に、普通の議論に持っていくような場合です。
そうなっては目的は達せられないのでそこは議論にのらない。議論は後にしよう。といって話を戻す必要があると思っています。
しかし、相手との温度差というのは常にあって、改めて話をするとなると、それだけ身構えて来ます。まず、自分の考えを先に述べるべきだろう。と考える方も当然いらっしゃいます。議論は後でするにしても、こちらの主張は先にした方が良いケースもあるでしょう。
人は自分の話を聞いて欲しいと思っていると言われますが、必ずしもそんなことは有りません。相手が話したいと思っている時に傾聴することが大切だと感じています。
いずれにしても、相手の考えや見解を十分に聴きだせるように、相手との温度差や気になる点があれば、そちらを先にクリヤーしてから聞くことも大切だと思っています。
また、相手の考えをじっくり聞けるチャンスは1回だけです。2回目はその話は前にしましたよねとなるのが普通です。
また、傾聴は相手を受容し、共感する事。なので、相手のいう事を否定してはいけない。と思う人もいるようです。
相手のいう事を否定してはいけない。と思う時点で自己一致していません。
「○○さんはいじわるだから嫌い!」と相手が発言してきたら、何が有ってそう思うようになったのか聞いて行く事になります。
「そうだよね」というのは簡単です。仮にあなたも○○さんが意地悪だと思っていても、どうして意地悪と思っているかは、あなたと相手で全く違うかもしれません。「あなたはそう思ってるんだね。どんなところが嫌いなの?」と聞いてみるべきでしょう。
特に仕事の場合、安易にそうだよね。と同意するのは、後々、こちらが思っていた内容と違う場合、この間、同意しましたよね。となり良い事は有りません。
共感も完全な共感などありえません。というより本当に共感出来ているかなどわかりません。共感できた。共感してもらえた。と思える事が大切だと思っています。
そのために。とことん、相手の思いを聞いていく。そして最終的にはそう思っているんだという事を受け止める。
すべてはそこからです。自分と相手がやはり違うところが有るので、悩みにも別の考えが提案できるのだと思います。
私も自分でまだまだだと思っていますが、気を付けている事は以下の3点です。
- 相手との温度差に注意をして、こちらが傾聴しやすい状況に持っていく。
- そういった事か?と勝手に納得せず、相手の話の要約して返し、自分が理解しているかどうかポイント、ポイントで確かめる。
- 今日は話を聞くだけと決めて、聞くことに集中する。 チャンスは一回!
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