相手の特許を突き破る「選択発明」。捻出するポイント、防ぐポイントを分かりやすく説明します。

特許の本質、強い特許、攻めの特許、守りの特許

何とか、相手の特許網を突き破る特許は出せないかと考える際に有効な「選択特許」について説明します。

選択発明って?例えば。。。

 B社の選択発明(選択特許)はA社の特許に抵触しており、侵害していますが、成分Bの中でも特にB´を使う事で、特許が認められることが有ります。これが、選択発明、選択特許と呼ばれるものです。

「選択発明とは、物の構造に基づく効果の予測が困難な技術分野に属する発明であって、一般には化合物が該当すると言われています。

しかし、例えば、通常の実験でもそうですが、弾性部材の中でバネを使って効果が見られた時に、新たな課題に対してゴムが有効と考え適用した場合、それだけでは特許にはならないでしょう。

しかし、思いもよらぬ課題が発生し、それを解決したような場合は特許性がぐんと出てきます。パラメータを規定した特許と合わせて考えるといった方向性も出て来ます。

機械材料の選択であっても、それだけでは特許にならないかもしれませんが、それがきっかけで新たな課題が明確になったり、パラメーターを規定した数値限定特許と組み合わせることで特許性が出てくることもあります。

大切な考えだと思っています。

捻出するポイント

進歩性、選択発明の審査基準

刊行物に記載されていない有利な効果であって、刊行物において上位概念で示された発明が有する効果とは異質な効果、又は同質であるが際立って優れた効果を有し、これらが技術水準から当業者が予測できたものでないときは、進歩性を有する。(審査基準第Ⅱ部第2章2.5(3))

進歩性の有利な効果同様、効果を主張することで選択発明も特許になる可能性があります。

しかし、コストダウンの効果は好まれません。ここは注意が必要です。

コストダウンのために実施した工夫でも、品質的な、技術的な課題とその解決、効果を訴える必要があります。

選択するだけでは特許に出来なくても。。。。。。

一般に材料を選択するのは、単なる最適化といわれ、特許にならない典型例と言われます。確かにその通りなのですが、材料を変更する事で、新たな解決すべき課題が出て来たり、過去の特許と何か違いを明確にできないか?を考える事が非常に大切になります。

数値限定特許については記事にしているので良ければ参照ください。

選択発明を防ぐ方法

新規性

特許は権利範囲で定義されますので権利範囲は広い方が、相手を攻撃する際に有利ですが、その分、新規性には不利です。

弾性部材といえば、ばねかゴムか不明ですが、ゴムが先にあれば、後で弾性部材を出しても、ゴムは弾性部材なので新規性は認められません。

文言上、先願が上位概念で記載された場合は下位概念で選択すれば、新規性はあります。よって、あまりに権利範囲が広い、抽象的な言葉で表現されている場合は下位概念の具体例を上げて、新規性を確保することが必要になります。

ただし、先願に下位概念(ゴム)が記載されていたり、先願出願時の技術常識から見て記載されているに等しいと思われる時は新規性なしとなります。

  • 明細書では下位概念を多数記載し、新規性対策とする。
  • 例えば、弾性体の例で言えば、「具体的には、ゴム、ばね、板バネ等、材質、形態は状況に応じて選択すれば良い。」などの記載になります。
  • 材料により、好ましい物があるのであれば、その旨、記載する方が進歩性の対策にもなります。
  • 例えば、「○○の場合は××の点でゴムが好ましく、△△の場合は□□の点でばねが好ましい」などの記載になります。

まとめ

選択発明のポイント
  1. 物の構造に基づく効果の予測が困難な技術分野に属する発明とされている。
  2. 機械材料など選択しただけでは特許性は厳しいが、新たな課題や、数値限定などと組み合わせることで、特許性が出せないか考える事も大切。
  3. 先願に対して、後願が下位概念で記載されていれば原則新規性は確保される。
  4. 先願で示された効果よりも、下位概念を採用した場合、異質な効果、または同質であるが際立って優れた効果を有すると進歩性も認められる可能性が出てくる。
  5. 選択発明を防ぐためには、明細書により具体的に、何を使ってもよい旨を記載し、下位概念の新規性を防ぐ

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