強調試験、再現試験で仮説検証を行う。~物理化学的な不具合~

物理化学的な原因の仮説検証方法

仮説を検証する

強調試験

現象が見えていないのであれば強調して可視化します。

ケース1、例えば微小傷

♦不具合内容

傷はお客様の工程で表面処理が行われ傷が目立つようになり不具合に。社内では観察されないため、検証するのが難しい。

♦仮説

Aスクラブ工程で〇×が原因となって微小な傷をつけている。〇×はA工程の前工程で使われていた研磨剤の取り残しが原因

♦強調試験

スクラブ回数を複数回に増やすことで、傷の発生を強調

仮説の検証:スクラブ工程で〇×が原因となって微小な傷をつけている。
  • スクラブ回数を増やした時のお客様の傷の発生率の相関を調査する。
  • スクラブ回数を増やすことで傷を顕在化させ、お客様の発生形態と比較する。
  • スクラブ治具についた異物を調査する。
ケース2、例えば微小付着物

♦不具合内容

 お客様の工程で、微小な付着物が指摘され不具合に、欠点を分析しても炭素や酸素が見られることから有機物と考えられるが、同定までに至らず。

♦仮説

 輸送中に製品に接触している梱包材(クッション材として使用)から有機物が製品に転写しているのが原因

♦強調試験

製品と梱包材を接触させ、高圧をかけて保管することで転写を強調

仮説の検証:輸送中に製品を梱包している梱包材から有機物が製品に転写した。
  • 製品と梱包材を接触させ、高圧をかけて一定期間保管、その後、非常に弱い洗浄を実施。
  • 製品についた付着物を徹底的に調べた結果A成分が洗浄後で一番残る事が判明
  • 梱包材にA成分を含まないものに変更したところ、お客様での発生率が激減

追加試験/追加調査

測定していなかったデータを新たにとり影響を調べる。

ケース3、面ダレ悪化

♦不具合内容

 薄い、円い円盤状の板を研磨加工した場合、表面はきれいに磨けるものの、面ダレが発生。

♦仮説

 製品を保持しているキャリアと製品の隙間が少なく、研磨加工中に円盤が上手く回転しないので面ダレが発生している

♦追加試験

製品とキャリアの隙間を変えることで面ダレの影響を確認

仮説検証:加工中のキャリアと加工物の隙間が少なく、加工中に加工物が上手く回転しない

キャリアと加工物の隙間を変えることで、面ダレが解決。

仮説の見直し、修正、を繰り返し、原因を特定する

 データーは統計学的に処理をして考える必要がありますが、検証した結果、思い通りの結果が得られなかった場合、仮説を見直す必要があります。

 正直、落ち込むことが多いですが、仮説を立てた時と同様、現実/データーを追加情報も含めてバージョンアップさせて、仮説を再度考えるしかありません。

対策を考え、効果を確認する。

 対策を考えるのも実は簡単ではありません。別の記事で紹介していますので、そちらを参照してください。

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