特許戦略に基づく、具体的な特許対策について

特許戦略構築

すでに紹介した通り、知財戦略とは他社からの特許訴訟のリスクを下げ、他社の参入障壁は厚く/高く、自社の参入障壁は薄く/低くすることで、自社の商品の拡販につなげるにはどうすれば良いのか戦略を練る事であると考えられます。

今回は、考えられる対策について具体的に考えていきます。

特許訴訟対策

知財戦略を考える上で、一番大きなリスクは特許訴訟で訴えられる場合です。他社の特許に抵触していた場合、特許訴訟のリスク対策を考える必要があります。

特許訴訟リスク対策
  1. 他社特許回避策の検討。回避策の特許出願
  2. 攻めの強い特許の創出
  3. 特許訴訟に備えた理論武装(裁判で戦う)
  4. 情報提供、特許異議申立又は特許無効審判
  5. 特許を定期的にモニターするシステムつくり

他社特許回避策の検討、回避策の特許出願

一番基本となる対策です。ただし、簡単に回避出来ればよいですが、実際には非常にお金がかかるとか、回避策が思いつかないとか、難しい場合が多いです。

 しかし、回避策を考えることで新しい発明につながるなどはよくある話です。まず第一に考えるべき内容だと思います。

攻めの強い特許の創出

すでに紹介した通り、他社も実施している当たり前特許、他社が実施しそうな他社の改良特許、権利範囲が広い特許く、検証し易い特許、避けられない基本特許が有効です。

特許訴訟に備えて理論武装を行う。(裁判で戦う)

特許の進歩性、あるは新規性を否定する文献をひたすら探す。拒絶通知、および、その意見書の審査記録から裁判で争う前提で準備を特許事務所や弁護士事務所とタイアップして進めるものです。

情報提供、特許異議申し立て、または特許無効審判

相手が仕掛けてくる前に、こちらから仕掛ける事になります。3、4、は知財部、や特許事務所に基本的にお願いすることになります。

ただ、4はそれで無効にできる保証もなく、3だけを進めるところも多いと思います。

特許を定期的にモニターするシステムづくり

特許訴訟の可能性のある特許は、対策期間を長くとるためにも公開された時点でモニター出来るようにする必要があります。

公開の段階なので、その後、特許査定になったか、どのような権利範囲で特許になったのかについては、別途確認する必要があります。

定期的にモニターするとしても、自社技術を脅かすような特許なのか否かは設計者、開発者に問われることが多いです。

いかにモニターする特許にノイズが少ないか?を検討し、効率の良いモニターを考えることが非常に大切になります。

他社参入障壁を厚く/高くする(守りを強く)

すでに紹介した通り、群(改良/周辺特許)の出願が必要になります。とは言っても非常に手間がかかるのも事実です。主力商品で将来参入障壁を設けてシェアを伸ばしたい商品に優先して考えるのが良いです。

他社の参入を防ぐつもりはないが、実施できるようにしておきたいのであれば、公知化や先使用権の準備が必要です。

自社の参入障壁を薄く/低くする。

隙間を狙った、改良特許/周辺特許、当たり前特許を考える。特許訴訟対策同様、攻めの強い特許を考える。といった事になります。

またもう一つ、そもそも、その市場に何を武器ににして入ろうとしているのか?例えば、あなたが持っている生産技術が、その市場に使えると思うのであれば、その特許を持って、製品特許を持っているメーカーにクロスライセンス契約やライセンス契約、あるいは共同開発を持ちかける。といった事も出てきます。

事業計画の市場参入戦略にそって、市場で魅力的な特許の創出も必要と思います。

秘匿の個人的な考え

特許は公開する前提で、特許権を与えるものです。一言で言えば、公開されることのデメリットと権利化出来た場合のメリットを比較すれば良い。という事になります。その切り口として、検証性を切り口にすれば考えやすいです。

検証性が高い場合(見ればわかる/調べればわかる)

これは、基本出願です。特許権はいらないので公知にする。他の人にもどんどん作ってもらって、マーケットを大きくする。商標や意匠で押さえる、、、、他にもあるかもしれませんが出願が基本です。

検証性が低い場合

公開される場合のデメリット、他社に改良の機会を与える事の影響を考えましょう。

自社の生産方法の特許であれば、他社も実施しているような当たり前特許や他社が避けられないような基本特許、生産方式の影響が製品に反映されて検証性が高くなる特許、それ以外は、基本秘匿にすべき、と私は思っています。

ただし、検証性は低いとは言え、特許訴訟になれば、お互い持っている特許でやり合うことになります。なので、他社から特許侵害で訴えられるようなケースが考えられる場合はやはり特許出願を進めた方が良いと思います。

2019年の改定で専門家が証拠収集を行う査証制度の創設が行われ、専門家による現地調査が出来るようになったようです。制約事項も色々あるようなので詳しくは特許庁のH.Pを参照ください。→resume.pdf (jpo.go.jp)

まとめ

  1. 知財戦略とは
    • 他社からの特許訴訟のリスクを下げ、他社の参入障壁は厚く/高く、自社の参入障壁は薄く/低くすることで、自社の商品の拡販につなげるにはどうすれば良いのか戦略を練る事
  2. 具体的な特許対策は?
    • 特許訴訟対策
      • 特許回避、攻めの強い特許、理論武装、情報提供、異議申し立て、無効審判
      • 特許群の充実で他社の参入障壁を構築。(主力商品に絞るのがおすすすめ)
      • 攻めの強い特許、武器とする技術のクロスライセンスなどで、新規参入

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