社内の各部署の事業方針、自社他社の特許情報、リソースを使ったSWOT分析、商品のライフサイクルを加味した特許戦略の構築方法です。
知財戦略の位置づけ
誰かの特許に抵触していても、相手から訴えられなければ商売は出来ます。結構大きなリスクですがリスクでしかありません。
営業で注文が取れなかったり、品質クレームで納入停止になれば、商売は出来ません。
当たり前ですが、リスクは知財リスクだけではありません。製造、営業、様々なリスクがあります。業界にもよるでしょうが、知財リスク、知財戦略は、会社の方針、製造、営業、開発の方針を受けて考える必要がある。と思います。
知財戦略の立て方
SWOT分析
SWOT分析とは上記のような手法と言われています。
外部環境を、PEST分析、5F分析と呼ばれる手法で分析し、脅威や機会を探る。内部環境はバリュー・チェーン分析やVRI0分析、4P分析といった手法を使って強み、弱みを探る。
分析で探り出した強み・弱み・脅威・機会を掛け合わせて、戦略を考えるというものです。
ただし、知財戦略を考えようと思うと、上記のような考え方では、私にとっては、範囲が広すぎて考えにくいです。
以下は、私が実施していたSWOT分析です。
開発や営業が外部環境に入っているのに違和感を覚える方も多いと思います。ただ、知財戦略にして考えれば、事業方針や開発方針、営業方針、製造方針を外部環境と考え、内部環境は、知財の強み、弱み、リソースに限定した方がポイントが絞れて考えやすいです。
○○を主力商品として売っていくのであれば、それが機会でしょうし、外国に売って行くのであれば、脅威にも機会にもなります。方針を立てた背景に脅威も確認しているでしょうから、そのあたりの情報を収集すれば脅威・機会は考えやすいです。
どういった分野に力を入れて開発していくのか、開発力で脅威になっている技術は、他社は?などです。
営業や開発程、脅威や機会は出てこないでしょうが、新たに外国に進出するなどは機会であり脅威であると思います。
特許MAPをベースに、お互い抵触している特許、抵触していそうな特許、特許件数ぐらいをまとめるといいと思います。
自社の特許が他社に抵触しているか明らかな場合は良いですが、本来なら不明な物も多いです。ただし、情報提供があれば、それは潰したいと思っている証拠ですので、大切な情報になります。情報提供者は匿名ですが、提供があったことは特許庁が教えてくれます。
予算・人員は戦略を考える上で外せません。足りない場合は予算を獲得するなり、外注するか、応援人員を増やすか、対策の優先順位の高い物に集中するか、考える必要があります。
彼我分析(強み・弱み)
技術分野も広い場合は良いですが、個々の技術で考えると、脅威や機会を絞り出すような形になり、本末転倒の所は有ります。
その場合、他社の特許と自社の特許を比較し、強み、弱みを探って、対策を考えるでも良いと思います。
内部環境、外部環境の分析には簡易的な手法として3C分析(自社、競合、市場)というのもあるので使ってみると良いと思います。
商品のライフサイクルに合わせた特許戦略
商品には良く知られているように、導入期、成長期、成熟期、衰退期、があり、ステージの応じた戦略を考える必要があると言われています。
導入期あるいはその前の開発のステージでは特許的にも隙間が多く、陣取り合戦のステージです。極力多くの特許、権利範囲の広い特許を出して、大きな特許網を作ることを考える時期です。
特許も公開され、特許状況が分かってきます。成熟期に向けて、足りないところは基本特許の他に改良特許も出していく必要があるでしょう
特許的にはあらかた勝負がついている事が多いですから、不要な特許を整理したり、有効期間が切れる特許を対象とし、改良特許で延命させるような事を考えて行く必要があると思います。
まとめ
- 知財戦略とは他社からの特許訴訟のリスクを下げ、他社の参入障壁は厚く/高く、自社の参入障壁は薄く/低くすることで、自社の商品の拡販につなげるにはどうすれば良いのか戦略を練る事。
- 知財戦略を立てるには社内の営業方針/開発方針/製造方針/事業方針、他社の知財状況を外部要因とし、内部の知財状況、リソースを使ってSWOT分析を行う
- 商品には導入期、成長期、成熟期、衰退期、があり、ステージの応じた戦略を考える必要がある。
- 導入期には大きな特許網を、成長期には改良特許を、成熟期/衰退期には特許の整理や延命特許を構築する必要がある。
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