個人、個人の仕事の満足度、やりがいを上げる方法論は色々な書籍で紹介されています。
ベースにあるのは信頼関係、勇気づけをベースとしたコミュニケーションが土台となる前提条件と感じていますが、それだけでは不十分です。組織として満足度、やる気を引き出すシステムを考える必要が有ります。
メンタルヘルス・マネジメント 検定試験 Ⅰ種 マスターコース 中央経済社の中に、抽象度は多少上がりますが、どのような職種にも共通する職務特性モデルに基づく職務再設計が提案されていましたので紹介したいと思います。
職務特性モデルに基づく職務再設計
中核的職務特性
従業員の動機づけ・満足感・業績・離転職行動に影響する、どのような職種にも共通の中核的な5つの職務特性が考えられる。
職務特性モデル
「スキル多様性」「タスク一体性」「タスク重要性」の三つがそろった職務では従業員は仕事に大きな意義を見出します。また、「自立性」のある職務は従業員の責任感を増大させ、「フィードバック」が与えられる職務ですと自分の業績がどのくらいの評価を受けているか分かります。
中核的職務特性は、これらの心理状態を経由して、動機付け、業績、満足感、離転職行動に影響を与えると言うものです。
ただし、その関連性の強さは、個人が持つ成長意欲(自尊心や自己実現を求める欲求)の強さによって強められたり、弱められたりすると言う訳です。
メンタルヘルス・マネジメント 検定試験 Ⅰ種 マスターコース 中央経済社より
職務特性モデルの評価と展開
中核的職務特性の数と種類が上記の5つで良いのか、また、個人の成長欲求の強さ職務特性と個人・仕事上の結果を調整するように本当に機能するのかについては反対意見がある事も事実です。
しかし、MPSという個人が職務に対して抱く潜在的動機付けを表す指標が提案されています。
この考えによると、自立性やFeed Backがゼロであれば個人の動機ずけもゼロ、となります。
職場環境改善のためのツール
メンタルヘルス・マネジメント 検定試験 Ⅰ種 マスターコース 中央経済社では職場環境改善のためのヒント集として、厚生省が出しているチェックリストが紹介されています。
6つの改善技術領域、と30のアクション項目からなるチェックリストとして纏められています。
厚生省の「こころの耳」https://kokoro.mhlw.go.jp/manualに紹介されていますので良ければ参照ください。
企業組織レベルの改善について
ソフト面と、ハード面、両方の改善が必要としています。
1990年代の日本企業は、落ち込んだ業績を回復するために、組織のハード面に対する様々な変革を行いました。例えば、組織のフラット化や部門の再編、ダウンサイジング、IT化を伴う業務手順の変革、成果主義的な人事制度の導入などです。(中略)
ハード面を重視した変革の結果、21世紀に入ると従業員間のコミュニケーションの希薄化、職場の一体化の低下、メンタル不調者の増加などが顕在化し始めました。そこで、組織のソフト面にもアプローチする組織開発がこれからの問題解決に役立つものとして、近年改めて注目されています。
メンタルヘルス・マネジメント 検定試験 Ⅰ種 マスターコース 中央経済社 P396より
個人的な見解
ソフト面のアプローチとハード面のアプローチと両方とも大切だと言うのは良く分かります。
ソフト面の対応として、環境職場改善のためのヒント集に記載されているような職場内の相互支援や、対話型組織開発と呼ばれる、幅広い参加者によるダイアログ(対話)を行い、組織や個人の強みや潜在力に焦点を当て、その潜在力を発揮するための将来像を描き、行動計画を立てて実行する点に特徴がある手法などが「メンタルヘルス・マネジメント 検定試験 Ⅰ種 マスターコース 中央経済社」に紹介されています。
しかし、既に記事にしているように、行動科学の考え方をベースに本人が望むことを極力すぐにFeed Backする事や、高い目標を、小さな目標にしてやる気を出すことも大切ですが人それぞれです。
そもそも、本人が望む物は結局人によって異なります。小さな目標が良いと言いながら、簡単すぎればやはり、やる気にはつながらないでしょう。人によっては、ネガティブなFeed Backの方がやる気になる人もいるぐらいです。
結局は、傾聴と普段から勇気づけをベースにしたコミュニケーションを通して、信頼関係を構築した上で、職務特性モデルや行動科学の考え方を参考にして相手のやる気を引き出すツボを探っていく必要があると思っています。
言うのは簡単ですが、実際には難しいですよね。難しいですが、それしかないのではという気がしています。
行動科学や人それぞれに関しては記事にしていますので良ければ参照ください。
まとめ(個人的見解)
- 職務特性モデルが提唱する、中核的職務次元の内、自立性とフィードバックは特に重要
- 職務特性モデルのような、良い状態に持っていくためには、行動科学の考え方を参考にし、本人が望む物を与え行動を強化したり、大きな目標を小さな目標に切り分けることも大切
- しかしながら、本人が望む物は、結局人によって異なる。
- 従って、結局は、傾聴と普段から勇気づけをベースにしたコミュニケーションを通して、信頼関係を構築した上で、職務特性モデルや行動科学の考え方を参考にして相手のやる気を引き出すツボを探っていく必要がある。
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