社長様の思いを従業員に伝えるには、まず、社長様の思いをしっかりと言語化する事。また、単にお題目としてその思いを唱えるのではなく、日頃から言動一致、その思いを自分の判断基準として常に捉え、従業員にも、そのような態度で臨むことが大切になると思います。
また、従業員、特に役職者に対しては、何を期待するのか、その役割を明確にして、その役割に沿った業務内容にする必要が有ります。それは、社長様も同じです。そもそも、社長様が実施すべきことは何なのか?から見直す必要がある思います。
そのようにして、経営理念とも呼べる社長様の思い、事業戦略から来る将来のビジョン、そのビジョンを達成するための、職務分掌、業務分掌の整理と進めることが大切だと思っています。
その上で、相手の思いを良く聞き、共有ゾーンを探して行く事が大切だと思っています。
そのことを、概念的に示したのが以下の図です。
左側の個人の価値観/キャリアを深堀する方法はすでに記事にしました。
今回は、右側の会社の経営理念、ビジョンの設定から個人の役割まで具体化して行くのに私が大切と思う所を紹介したいと思います。
経営理念の作り方
経営理念
従業員が10名から20名程度の小さな事業であれば、やはり、社長さんが会社をどうしたいのか、その思いを従業員に伝える事が大切なのは言うまでもありません。
経営理念と言われても、考えがまとまらない方も多いと思います。一人で考えても同等巡りになる事もあるでしょうから、誰かと話をすることも大切だと思います。
私の考えをまとめたのが上記の図になります。一番大切なのは、社長様がそれが達成できた時を具体的に創造した時に、ワクワクするとか、幸せを感じるとか、心からそう思えることが大切です
しかし、会社ですので、それが達成されたとき、周囲にどのような影響が有るか?社会的使命、というか、どうやって社会に貢献していくか?といった観点で考える事も大切だと思います。
これはNLP(Neuro-Linguistic Programming)と呼ばれる日本語では「精神言語プログラミング」と呼ばれる方法のウエル・フォームド・アウトカムを応用した物になります。
NLPのウエル・フォームド・アウトカムについては下記の図書を参照ください
参考図書:NLPの実践手法が分かる本、山崎啓史著 日本能率協会マネジメントセンター
ある社長様との会話
ある社長様と経営理念についてお話した所、会社をつぶしたくない。今いる従業員の生活を守るのが私の責任であり、その一心で仕事をしている。とのお話でした。
確かに、その気持ちは分かりますが、従業員の生活を守る責任が経営者にあるのはある意味当然です。事業を行う上で、どういった状態であれば社長様は嬉しいのか、色々お聞きして行きました。
資金繰りで苦労しないとか、従業員が喜んで仕事をしてくれて、こちらから何も言われなくても、どんどん提案だ出てくるとか、将来の不安を吹き飛ばす、新しい成長できる商品を見つけたい。等の話も出ましたが、何となく理念というよりも願望のように感じました。
なので、社長様が、今まで仕事をしてきて、嬉しい、やりがいを感じた。楽しかったと思えるのはどんな時でしたか?との話をしていった時に、やっぱり、お客さんと信頼関係ができて、「有難う。助かった。」と言われたときかな。との話をされました。
結局、「ありがとう」と言われる○○作り、×〇◇を通して社会に貢献する。を経営理念としてはどうか?と提案しましたが、「ありがとう」というと、いかにも一般的で陳腐ではないか?と思われたようなので、ムリをして経営理念を作るのは止めました。
過去の色々な経緯から、従業員との信頼関係も十分とは言えない状況だったのですが、従業員の皆様の「ありがとう」のために、社長さんが出来ることは何でしょう?とお聞きする事で色々なアイデアが出て来ました。それだけでも大きな変化だと思っています。
社内でも相手の「ありがとう」のためというとまずは相手の立場に立って考えようとします。みんなに浸透させるためには、何かにつけて、それは相手の「ありがとう」につながるかを考えて行く事でしか浸透して行かないと思います。いわゆる言動一致、それしか浸透させる方法は無いと思います。
まだ、始まったばかりですが経営理念と言われると仰々しく感じるのであれば、経営理念など改めて公言する必要もないかもしれません。しかし、やはり、大切にしたい事、価値観、モットウなど、社長様の思いを言葉にすることはやはり大切だと改まって思った次第です。
事業戦略
現状の事業内容、事業環境、自社の強み、弱みなどを考え、事業戦略をまずは考える必要があるでしょう。事業戦略の立て方は、それこそ、色々な関係書籍などでも紹介されていますが、SWOT分析と呼ばれる手法を応用して考える事が大切になります。
SWOT分析とは以下のような手法と言われています。
外部環境を、PEST分析、5F分析と呼ばれる手法で分析し、脅威や機会を探る。内部環境はバリュー・チェーン分析やVRI0分析、4P分析といった手法を使って強み、弱みを探る。
分析で探り出した強み・弱み・脅威・機会を掛け合わせて、戦略を考えるというものです。
対象が広すぎて考えずらい場合は自社の事業分野に範囲を狭めると考えやすいと思います。
将来像
ビジョン、事業計画、ありたい姿、言い方は色々あると思いますが、会社が目指すべき将来像を示したものは必要です。
事業戦略を基に、将来どうありたいか?10年、あるいは5年先、どうありたいか?を考えて行く事になります。
そんなに先の事は考えられない。というう場合は最低でも年初に1年後はどうありたいかをまとめて、年初に従業員に説明する事はやはり大切です。
具体的には、誰のどんな課題に、何を持って解決し、どういった状態にしたいのか?(売り上げ目標など)をまとめることになります。
職務分掌、業務分掌
大企業のように、人が潤沢にいて、また、担当や業務内容もすぐに変わるような職場では、明確にされているかどうかは別にして、職務分掌、業務分掌、あるいは、それに準じるようなものがあって、その職務にふさわしい人を当てはめて行く事が多いと思います。
しかし、従業員が50名以下、10名から20名程度の小さな企業であれば、そもそも、役職者を何人もあてられる余裕はないはずです。
社長様も含めて、会社を運営していく中で、この人は、と思い人を何人か選び、どういった役割をして欲しいのか、本人の性格、能力などから勘案し、それが有効に機能するように組織を逆に当てはめた方が上手く行くように思います。
社長様が役職者の方に期待する事をまず明確にした上で、実際に本人たちと面談で役割分担、責任などをまずすり合わせましょう。
その上で、社長様も含めて毎日行っている業務を洗い出し、社長、役職者の役割、責任をまずすり合わせて、業務の見直しを行い、その役割にふさわしい肩書、組織を作っていく方が上手く行くように思います。
上記の事を模式的に下記に示します。
役職者の職務分掌、業務分掌が終わったら、他のメンバーの職務分掌、業務分掌も同じように役割整理から行うといいと思います。
まとめ
- 経営理念
- あなたが作りたい会社は?それが達成されたら体が喜ぶか?幸せを感じるか?そののとで果た時の回りへの影響は?社会的な意義、貢献は?
- 経営理念は日々の判断基準に活用。言動一致
- 事業戦略
- 強み、弱み、脅威、機会から考えるSWOT分析を活用する
- 将来像、ビジョン、事業計画
- 誰のどんな課題に、何を持って解決し、どういった状態にしたいのか?
- 職務分掌、業務分掌
- 現実をベースにするのではなく、まずは、社長と役職者の役割のあるべき姿を定め、組織、業務内容を整理する。
- あるべき姿を実現するためのアクションアイテムを決め、PDCAを回していく。
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