組織運営で大切な事
よく、信頼関係が構築されていればすべて上手く行くようなコメントも見たりすることが有りますが、そんなことはないですよね。
一方、規則、ルールでがんじがらめにしてしまうと、自由度が無く、結局、従業員としては自分は信用されていない、との思いにもつながり上手く行きません。
結局、信頼関係がすべての土台になるのは確かですが、組織運営のピラミッドすべてがうまく機能しないとやはり組織運営は上手く行きません。
また、システム(組織構造)を適切に機能させることで、マネージメントやコミュニケーションが取りやすくなり、信頼関係も構築しやすくなるといった面もあります。つまり、すべてが複雑に連携し合っているのです。
しかし、中小企業の組織改革を支援していると、システム(組織構造)を再検討するのは大手の考え方です。中小は人がいないので結局一人が何役もしなくてはならないんです。結局個人が周りの人を巻き込んで、運営して行くしかないんです。と言われることが良くあります。
確かに大手では、システム(組織構造)を考えるのが仕事になっているような人もいるので、ガチガチのシステムにしてしまい、非効率なシステムにしてしまう事はよくある事のように思います。しかし、人が二人以上いて仕事をするのであれば企業の規模にかかわらず、システムを作ることはやはり必要です。
システム構築は大手の考え、、、という方に限って、マネージメントやコミュニケーションに焦点を当て、無駄なコミュニケーションに時間を取られ、苦労されているように思う事が多いです。
システム(組織構造)を構築する事で無用な議論や無用なコミュニケーションが少なくなり業務の効率化も図られます。
実際の支援活動を通して中小企業でシステムを構築する上で私が大切と思う事を紹介して行きたいと思います。
一般従業員の責任と権限も明確に
ISOなどでもトップマネージメントは責任及び権限が割り当てられ、組織全体に伝達し、理解されることを確実にしなければならない。とされています。
- 責任とは実際にやらなければいけない事、義務、
- 権限は会社からに認められた他人に指示をしたり何かを実行する権利、と言われています。
よく、明文化しても、それ以外のイレギュラーな事が起きた場合の対応が遅れるとか、色々言われる方もいらっしゃいます。しかし、それはマネージメントやコミュニケーションの問題で、責任や権限が明確になっていなくて良い。とはならないと思っています。
管理者と呼ばれる人が自分の責任は何なのか、権限は何なのかをしっかり把握していないと、自分が何をすれば良く分からないのではないでしょうか?
良かれと思ってやったことが、それはお前の仕事ではない。と言われたり、社長がそれをするだろうと思っていたところ、なんでお前がやらない!!と言われては仕事がやりにくくて仕方がないですよね。
しかし、管理職と呼ばれる人の責任や権限は明確にしている会社でも一般従業員(作業員)の責任や権限について明確にしている組織は少ないのではないでしょうか?
一般従業員の責任
一般従業員の責任は職務を遂行する上では指示されたことを忠実にこなしていくのが責任になります。無論、指示された事や命令されたことを無条件に従う必要はありません。不明な点は確認しなければなりませんし、修正を要求する事も必要でしょう。正当な理由があれば断る事も出来ます。しかし、逆に言えば正当な理由が無い場合にはこれを拒否する事は出来ません。
極めてドライな言い方をすれば、一般従業員は労働力(能力)と時間を会社に提供する事でその対価として給料をもらっている訳です。その提供を拒む人は責任を果たしていないことになるので何らかのペナルティーが科せられるのは当然のことです。
エリア担当とか作業担当者など明確にするのも一般従業員の責任を明確にするのも大切だと思います。
こんな人いませんか?
いわゆる仕事をサボろうとする人はある一定の割合でいらっしゃいます。ごまかすのならまだ分かりますが自分の仕事は自分で決められると思っている人も一定数いるように思います。
例えば、自分だけでなく、Aさんもサボってるのになんで俺だけと言ってくる。といったパターンです。だいたいAさんもサボっている。というのは正しくないことが多く、仮にAさんがサボっていたとしても本人がサボっていいとはなりません。
また、私は残業はしない主義です。と堂々と宣言し、適切な残業命令も拒否したり、仕事もないのに残業して平気で残業申請してくるような方などもいます。
義務を前面に出して指導するのが良い方法とは思いませんが、義務を理解していない人には就業規則などで明文化して周知しておく事は大切だと感じています。
周知するには、社労士の先生などに解説してもらうなど、第3者にお願いするのが良いように思います。
周知してもマネージメントやコミュニケーションが有効に機能しないと結局上手くはいきません。
例えばサボる人は仕事を任せられないとして、仕事を減らすことを考える方もいるようです。マネージメントやコミュニケーションはケースバイケースで変わってくるでしょうが私は全く逆だ、と思っています。
仕事をサボる人に対しては多少多めの仕事を与えて、しっかり期待している事を伝える。仕事状況はしっかり確認し、従来1しかやっていなかったのが2出来るように成れば、それに関してしっかりF.Bして感謝の気持ちを伝える。サボる人は例えば3お願いしたら1しかやりませんが、5お願いしたら2はやるものです。
また、他の従業員に対しては、○○さんに甘い、等と言われることが多々あります。その気持ちは良く分かるのですが、本人が変わってくれば周りの目も変わってきます。それを信じてまずは進むしかないように思います。
作業者の責任を理解していない管理者
また、権限も明確にしていないのに、うちの作業員は言われた事しかしない。自分で工夫しようという姿勢が無い。という管理者も作業員の責任と権限が十分に分かっていないと思います。
一般作業員は指示されたことだけではなく、自分の仕事を効率的に進めたり、創意工夫をしてもらう事が非常に大切ですが、それであれば、管理者は業務として改善活動を進める時間を確保したり、必要な教育を行う(啓蒙活動む含めて)事が必要でしょう。
また、例えばイレギュラーな事態(作業標準書で対応できないような事が発生した場合)など、本人の判断で対応して良いのか、誰かに相談したうえで判断するのか?相談相手が不在の場合はどうするのか?などのガイドラインを決めておく事も大切だと思います。
作業者を巻き込んでの作業計画作成、作業計画の周知
管理職は指示命令の権限が与えらえていますが、それが有効に機能するように相互に協力して常に密接な協力関係を構築する事が必要不可欠です。
そのためには作業者を巻き込んで作業計画を作成したり、作業計画を周知する事は大切だと思います。作業者から見れば自分の仕事に直結する内容ですから、自分が関与することなく決められればやはり面白くないでしょう。
これに関しては厚生省が出している職場環境改善のためのヒント集が参考になるので紹介します。
職場環境改善のためのヒント集にはこれ以外に「勤務時間と作業編成」「円滑な作業手順」「作業場環境」「職場内の相互支援」「安心できる職場の仕組み」について対策を考えるのに参考となる項目をまとめたものです。
「作業計画への参加と情報共有」に記載されている項目を下記に紹介します。是非参照にしてください。
まとめ
- 組織運営を有効に機能させるには決め事(システム/組織構造)を整備する事が大切
- システムを有効に機能させるためにはマネージメントやコミュニケーション、信頼関係の構築など、すべての面で有効に機能させることが大切
- システムを構築する際に役割分担、責任と権限等を明確にすることが大切であるが、一般従業員の責任と権限を明文化している所は少ない。
- 一般従業員の責任だけでなく権限も明確にしたり、作業計画など一般従業員の仕事に直結するような項目は計画の段階で参画し情報共有できる仕組みを考える事が大切
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