プレゼンテーションの本を読んでいると、共通して指摘されている事が多く、心理学がベースになっています。心理学の観点からプレゼンテーションのコツを考えてみたいと思います。
プレゼンテーションの目的
自分の主張や提案で聴衆に具体的行動を促すこと。というのが一般的な目的のようです。中には、「発表」と「プレゼンテーション」を区別し、具体的な行動を促さない物は「発表」と区別している方もいるようです。
記憶の仕組みを応用する
記憶の過程
記憶を保持する段階では関連図けられたストーリを伴っていた方が記憶に残りやすい。(精緻化リハーサル)
別に心理学では、と言われなくても、肌感覚でわかりますよね。これをプレゼンテーションに応用しようというものです。
プレゼンテーションへの応用
重要な情報と思ってもらうには
実際に、聴衆に重要と思ってもらう必要があるので、聴衆の以下のような情報を主催者やネットなどから極力事前に調べ、それに沿った形でプレゼン内容を考える必要があります。
聴衆の信念、経験に沿って納得されやすい提案から行う。信念、経験を変えてもらうには、聴衆が驚くような、予想外の事実を提示する。
予備知識が足りなければ、初めに補足するなり、プレゼンテーション全体の要約を最初に説明する必要があります
心理学的に正しいプレゼン、聴衆を納得させる99のアプローチ、スーザン・ワインチェック著、壁谷さくら訳、イーストプレスより
- 何を聞きたいと思っているか?
- 信念、経験、等、どういった考えの人が多く参加するか?
- どういった予備知識を持っているか?
その場の雰囲気を良くするには、講師と聴衆の信頼関係を築く
「場」に合わせ、本当に思っている事を話す。相手が否定的でもまずはそれに合わせる。本当に思っている事を相手に伝えたいと思うところに、自然とスキル(ペーシングやリ-デング)が生まれる。
NLPの基本がわかる本 山崎啓支、日本能率協会マネージメントセンター、P183より
- うなづきや相槌をこまめに行う。笑顔で接する。
- 声を出して笑う。(笑顔で拍手をする。)
- 早めに部屋に入り、受講者に笑顔で挨拶をする。休憩時間なども積極的に話しかける。
- 一方的なコミュニケーションにならないように聴衆の意識に気を配る。
定年前後の人のための「講師デビュー入門」鈴木誠一郎著、同文館出版
不快なものは取り除く。雑音、音調、講師の口癖、(えー、あのー、)、気になる講師の動き(そわそわ動き回る。首をかしげる。等)
色々な本で紹介されています。一度、自分のプレゼンテーションを録画して確認してみるのが良いと言われています。
最初と最後に一番伝えたい事を伝える。
別の言い方をすると、最初と最後が多くなるように、長くても10分で話がまとまる単位(テーマ)でプレゼンを考える。各テーマで扱う項目は最大で4個、望ましくは3個まで。
その都度、小休憩を入れたり、軽いエクササイズなどの気分転換を図る。
心理学的に正しいプレゼン、聴衆を納得させる99のアプローチ、スーザン・ワインチェック著、壁谷さくら訳、イーストプレスより
関連つけたストーリを話す。
- 感動体験は当時の事をリアルに思い出し、素直に笑顔で表現
- 成功体験は、上手くいかなかった頃の話。上手くいくやり方に気が付いた瞬間、何がポイントだったか?どうやり方を変えたか。その後の成功の話。
- 因果関係を盛り込む。日常生活で自然に感じる「原因と結果」の因果関係があること
1.2については、10倍伝わる話し方、渡辺美紀、幻冬舎より
「快・痛み」の原則を利用する
NLPの基本がわかる本、山崎啓支・著、日本能率協会マネージメントセンター、P31より
脳は「快を求めて痛みを避ける」
1、聴衆の問題意識を刺激する。「特定の行動を取る事の危険性」や「起こさないことの危険性」を指摘する。
2,メリット(どんな得があるのか)、Before After のイメージ(何が変わるのか)を伝える。
人はメリットよりも、無意識に危険、何かを失う恐れの方が行動に結びつきやすい。
心理学的に正しいプレゼン、聴衆を納得させる99のアプローチ、スーザン・ワインチェック著、壁谷さくら訳、イーストプレスより
人は安全・安心を求めている。
全体の流れの中で、今、どの位置にいるのか、分かるようにする。(現在地、ゴールまでの距離が分からないと不安になる。)
自分で選んだ(コントロールしている)と感じさせる。提案は選択肢の形で提案、ワークは数個用意して、聴衆に選ばせる。
(心理学的に正しいプレゼン、聴衆を納得させる99のアプローチ、スーザン・ワインチェック著、壁谷さくら訳、イーストプレスより)
脳は空白を嫌う。
分かりやすくする。
スライドを読ませてはならない。シンプルな写真、図表、イラストが基本。文字を載せるのであれば、大きく、見ただけで分かるようにする。
1スライド、1メッセージ
脳の空白を上手く使う
すべてにおいてわかりやすいと印象に残らないとも言われています。受講者に「わからない状態、(何だろう?)」の状態を作ってもらうと分かろうとするので、印象に残ると言われています。
ただし。??と引かれる状態になるとそもそも拒絶されるので注意が必要です。
焦点化を利用する
視覚(v)聴覚(A)体感感覚(K)に訴える。
視覚(V)、聴覚(A)、感覚(K)をバランスよく刺激する。具体的には、目と(スライド)耳と(聞く)口(議論)、手(書く)をバランスよく配置する。体を動かすのも良い。
まとめ
- 聴衆の背景を調べ、プレゼンテーションの内容を検討する。
- 講師と聴衆の信頼関係を築き、場の雰囲気を盛り上げる。
- 双方向コミュニケーション、笑顔、気配り、不快なものは取り除く
- 自分が本当に伝えたいことを正直にリアルに伝える。
- 関連つけたストーリーを話す。
- 大事な事は最初と最後に話す。
- 全体をカテゴリー、テーマに分け、最初と最後が多くなるように工夫する。
- 聴衆に自分で選んだ、コントロールしていると思ってもらう。
- 問題意識を引き出し、メリットを提示する。
- 分かりやすくする。(スライドは見せる。読ませない。1スライド1メッセージ)
- 脳に?と思わせる。(伝えたい事。大事な事の前に間を開ける。もったいぶる。)
- 質問から入る。
- 視覚(V)、聴覚(A)、感覚(K)をバランスよく刺激する。
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