お客様の要求事項の種類については「狩野モデル」と呼ばれるモデルが有ります。有って当たりまえの当たり前品質、つねに他社との品質比較にさらされる一元的品質、他社との差別化につながる魅力的品質の対処方法について考えます。
狩野モデルとは
当たり前品質とは?
物理的充足度が高くても当たり前と思われるが、不備が有るとクレームになる。
テレビをつけたけど画面が出ない。車に乗ったけどエンジンがかからないとかそういった事です。使う上での最低条件、必要条件とも言えるでしょう。
一元的品質とは
性能品質、他社より劣れば不満、他社より優れていれば満足
テレビや車のカタログに出ているスペックをイメージしてもらえれば良いでしょう。価格なども一元的品質と言えます。
魅力的品質とは?
無くても困らないが、有れば魅力的
新技術と言い換えてもいいでしょう。今までにない価値を生み出すわけです。一元的品質でも圧倒的に他社を凌駕していれば魅力的品質になるともいえるでしょう。
各品質の対処方法
魅力的品質については自組織の強みを考慮しながら、いくつかの項目に焦点を絞って競合組織を凌駕する水準を狙えばよいでしょう。いかに重点を絞ってリソースを集中しブレークスルーをはかるかが大切となります。
当たり前品質は、競合組織を凌駕しても喜んでもらえませんが、悪くなるとそっぽを向かれます。競合組織を下回らない水準を狙いとした上ですべての物を確実に実施する必要があります。
魅力的品質を実現するためには、顧客の潜在ニーズを把握する事と、ニーズを満たす上で不可欠なボルトネック技術を予想し、解決する事の二つが大切になります
ISO9000の知識 中條武志著 日本経済新聞社 より
第一優先は当たり前品質
当たり前品質は必要条件ですから取りこぼしは許されません。使っていただく上での制約事項と言っても良いかもしれません。
この当たり前品質は、満たすことが出来ないとクレームに直結します。
なので、設計開発者としては営業任せにしては絶対にいけません。実際にクレームが発生しても誰も責任を取ってくれません。
営業任せにしてはいけない理由は、当たり前な品質は、お客様も何が問題になるのか分かりません。
なので、実績のある既存品との違いを明確にして、お客様とどういった問題が考えられるか技術的な協議を行う必要が絶対に有ります。
技術的な議論になるのでやはり営業に任せられません。
他社との競争になる一元的品質
他社との比較で評価されます。他社より劣っていれば、どこかの部分では他社に勝っていないと買ってはもらえません。
他社に勝っている要因は商品だけでなく、短納期だったり、接客の態度であったり、製品の品質以外の要因でも比較されます。
魅力的品質は他社との差別化
魅力的品質は潜在ニーズを把握して、お客様と新しい未来を作っていく形になります。引用図書、ISO9000の知識にあるように、潜在ニーズの把握とボルトネック技術を予想し解決することが大切なのは確かにその通りです。
しかしながら、言うのは簡単で、実際には非常に難しく、お客様がどこまで魅力的と感じてもらえるか人によっても違ってくると思います。
上の図に示したように製品の品質以外のサービス、対応力など、いわゆる自社の強みは何なのか、よく考え、総合力で差別化を計って行く事が大切になると思います。
つまり、物理的充足度が低くてもお客様の満足につながる左上の領域を目指すことも大切だと思います。
まとめ
- 狩野モデル
- 品質には当たり前の品質/一元的な品質/魅力的な品質が有る。
- 当たり前品質
- クレームに直結する取りこぼしの許されない品質。
- 新規開発/設計を行う場合には、実績のあるものと、どこが違うのか明確にして議論することが必要
- 設計者が責任をもってお客様と協議する事が非常に大切。
- 一元的な品質
- 性能品質で常に競合他社と比較される品質
- お客様からダイレクトにFeed Backが来る品質。
- 他社と同等の品質を目標とし、製品以外の一元的な品質、例えば短納期等サービスで他社を凌駕する考え方も大切。
- 魅力的な品質
- なくても困らないが、有ると魅力的な品質
- 他社との差別化を考える事が大切。必ずしも製品の品質ではなくサービスで凌駕する考えも大切
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