「狩野モデル」を活用して、お客様の要求品質を的確に引き出す方法

目標の設定

設計/開発を進める上で、お客様の要求事項、要求品質を洗い出すのが最初と言われています。

しかし、お客様の要求品質の種類によって、その要求品質を洗い出す方法は考えないと的確な要求はつかめないと考えています。

お客様の要求事項の種類については「狩野モデル」と呼ばれるモデルが有りますので、狩野モデルによって適切な要求品質を洗い出す方法を考えたいと思います、

 狩野モデルとは

狩野モデルと商品企画:部門別スキル-品質管理なら日本化学連盟より引用

当たり前品質とは?

物理的充足度が高くても当たり前と思われるが、不備が有るとクレームになる。

テレビをつけたけど画面が出ない。車に乗ったけどエンジンがかからないとかそういった事です。使う上での最低条件、必要条件とも言えるでしょう。

一元的品質とは

性能品質、他社より劣れば不満、他社より優れていれば満足

テレビや車のカタログに出ているスペックをイメージしてもらえれば良いでしょう。価格なども一元的品質と言えます。

魅力的品質とは?

無くても困らないが、有れば魅力的

新技術と言い換えてもいいでしょう。今までにない価値を生み出すわけです。一元的品質でも圧倒的に他社を凌駕していれば魅力的品質になるともいえるでしょう。

各品質の対処方法

魅力的品質については自組織の強みを考慮しながら、いくつかの項目に焦点を絞って競合組織を凌駕する水準を狙えばよいでしょう。いかに重点を絞ってリソースを集中しブレークスルーをはかるかが大切となります。

当たり前品質は、競合組織を凌駕しても喜んでもらえませんが、悪くなるとそっぽを向かれます。競合組織を下回らない水準を狙いとした上ですべての物を確実に実施する必要があります。

魅力的品質を実現するためには顧客の潜在ニーズを把握する事と、ニーズを満たす上で不可欠なボルトネック技術を予想し、解決する事の二つが大切になります

ISO9000の知識 中條武志著 日本経済新聞社 より

♦第一優先は当たり前品質

当たり前品質は必要条件ですから取りこぼしは許されません。使っていただく上での制約事項と言っても良いかもしれません。

♦他社との競争になる一元的品質

他社との比較で評価されます。他社より劣っていれば、どこかの部分では他社に勝っていないと買ってはもらえません。

他社に勝っている要因は商品だけでなく、短納期だったり、接客の態度であったり、製品の品質以外の要因でも比較されます。

♦魅力的品質は他社との差別化

魅力的品質は潜在ニーズを把握して、お客様と新しい未来を作っていく形になります。引用図書、ISO9000の知識にあるように、潜在ニーズの把握とボルトネック技術を予想し解決することが大切なのは確かにその通りです。

しかしながら、言うのは簡単で、実際には非常に難しく、お客様がどこまで魅力的と感じてもらえるか人によっても違ってくると思います。

狩野モデルと商品企画:部門別スキル-品質管理なら日本化学連盟から引用した図に筆者が加筆

上の図に示したように製品の品質以外のサービス、対応力など、いわゆる自社の強みは何なのか、よく考え、総合力で差別化を計って行く事が大切になると思います。

つまり、物理的充足度が低くてもお客様の満足につながる左上の領域を目指すことも大切だと思います。

お客様の要望をどうやって引き出すか?

当たり前品質

当たり前品質は制約事項と捉えても良いでしょう。

しかしながら、お客様の要望を聞いても当たり前品質は要望事項として挙がってきません。何故なら、当たり前だと思っているからです。

私が、梱包容器の設計を担当していた頃は、事前に流動試験をしているにもかかわらず、数が多く流れるようになると、そもそも、お客様の工程で搬送出来ない。等とといった、当たり前の品質が確保されないことが、恥ずかしながら有りました。

それらの原因は、お客様の工程を流すうえで、どこが危なそうか事前にお互いに十分確認できていなかったことが原因です。

制約条件はお客様も製品の事が良く分かっていないので、何が制約条件になるのか分からないのです。

従って、設計/開発者が実績のある既存品と何が違うのかを明確にして、お客様とどういった問題が起こる可能性が有るのか、前広に協議をすることがどうしても必要になります。

その辺りは記事にまとめましたので参考にしてください。

一元的品質

お客様からヒヤリングして、最も得られる要望はこの一元的要望でしょう。性能品質と呼ばれるように、日頃。不満に思っているので、お客様の声が直接使えると思います。

魅力的な品質

魅力的な商品は、潜在ニーズを把握する必要が有ります。

お客様が気が付いていないニーズをいち早くとらえる必要が有るので、取り扱っている商品によって、潜在ニーズの引き出し方は違ってくるのではないでしょうか?

私はB to Bで電子部材、あるいは液晶用のガラス基板を扱う部署にいたので、直接のお客様だけでなく、その先のお客様、業界のロードマップなど、色々な情報から、直接のお客様と未来について議論することでニーズを引き出すことが大切になります。

お客様でも適切な部署の方と議論をすることが大切になってきます。

一方、一般消費者向けに商品やサービスを提供されているような方は、ただ、単純に聞いただけでは一元的な要望しか出てこないような気がします。

一般的には、消費者の行動を観察すると良い、あるいは、何か要望が出た時のその理由を聞くのが良い。とも言われているようですが、難しいような気がします。

何かのTVで見ましたがアイリスオーヤマさんは、商品を使い倒して開発のアイデアを得るとのことでした。

魅力的な品質を引っ張り出すのが仕事だと思う事で、意識がそこに向き、より的確な潜在ニーズが引き出せると思われ、非常に良い方法だと思いました。

また、世の中の新商品と呼ばれるものは、発明者のひらめきや、熱い思いから出てくるものも多々あります。

いずれにしても、お客様にとって、何が魅力的な品質なのかに関しては、各社、扱っている製品、サービスによって個別に考える必要が有ると思います。

まとめ

  • 品質には当たり前の品質/一元的な品質/魅力的な品質が有る。(狩野モデル)
  • 当たり前品質
    • クレームに直結する取りこぼしの効かない品質
    • 新規開発/設計を行う場合には、実績のあるものとどこが違うのか明確にして議論することが必要
  • 一元的な品質
    • 性能品質で常に競合他社と比較される品質
    • お客様からダイレクトにFeed Backが来る品質。
  • 魅力的な品質
    • なくても困らないが、有ると魅力的な品質
    • 取り扱う商品によってお客様からの引き出し方は考える事が大切
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