感謝の気持ちを持つ。何を心がければ良いのか?内観法とその効果

心理カウンセリング

感謝の気持ちを持つ事の効果は色々な所で言われています。ただ、感謝の気持ちを持ちましょう。と言われても、何となく胡散臭さも感じてしまいます。

そんな中、最近読んだ河合隼雄さんの書籍の中に、なるほど、と思う記載があったので紹介するとともに、私なりの所感を最後に紹介したいと思います。

内観法

内観法とは?

内観療法は、日本人の吉本伊信が開発した方法です。

自分の内面と静かに向き合い、過去から現在までに特に深くかかわった人間関係の中で「自分がどのような在り方をしたか?」を調べて行く方法になります。

具体的には、「母について」などのテーマを決めて、”してもらった事” ”して返した事” ”迷惑をかけた事” をひたすら思い出してもらいます。

内観法とは

自分一人で成長し自分一人で生きているのだと言うような、自分・我を実体視する視点を転換させ、様々な他者との関係性の網目として自分が存在してきた事、そして現に存在している事を自覚させるのが内観であると言えよう。(森田療法と内観法 富山国際大学 大谷 孝行 より)

上記のような内観を通して、対人関係、物事の考え方自体が自然に変わっていくのが内観法の特徴と言えると思います。

集中内観

ネットで内観 研修所 一覧 と検索すれば、実際に内観できる場所が色々出て来ます6泊7日だけではなく、2泊三日や日帰りの内観も行えるようです。

  1. 環境条件
    • 1週間、内観だけに集中することが求められます。内観者は、家庭や職場から離れ、騒音、電子音から離れ、日常的な刺激や人間関係から遮断される環境(屏風で囲まれた場所)におかれます。
  2. 身体条件
    • 内観時間は病気ではない限り横になる事は許されず、質素で温かい食事が提供されます。
  3. 時間条件
    • 1日15時間を内観に費やします。15分程の入浴と食事以外はひたすら内観に費やします。
指導者の役割
  • 1~2時間ごとに一回訪れる指導者に対して思い出したことを伝え、内観の進み具合を見ながら次に内観するテーマが与えられ、内観を深めて行きます。
  • 指導者は無駄な言葉かけ(世間話、内観希望者の苦労を労わる語りかけ)は一切しない。
  • 内観するのはあくまでも内観者、内観療法は自己治癒的な色合いが強い心理療法
  • 指導者は信頼関係を築くために笑顔で語りかけたり共感を示したりはしない。内観者から過度に依存されるのを防ぐためにあえて淡々とした態度を取ります。

参考図書:上級心理カウンセラー資格取得講座 3.フォーカシング・内観療法 株式会社キャリアカレッジジャパン

内観のテーマ例

まず、母について、してもらった事。して返した事。迷惑をかけた事を幼少期の頃から期間を区切って思い出してもらいます。幼いころに母親と別れて記憶がない場合は、祖母、姉、叔母などの生活を見てもらい、お世話になった人に対して行います。

父に対して内観を行う場合、養育費の算出をしてもらうと内観が深まりやすくなります。

両親の後は、内観者にとって重要な関係のあった人。(兄弟や祖母、祖父、お世話になった人、など)の内観を進めます。

事実を淡々と思い出してもらう。

内職は感謝を強制するものではありません。過去の対人関係を想起し事実を具体的に調べる事です。

感謝は内職の結果、自然に湧き上がってくる感謝に過ぎません。

内観者はにおいては「してもらった事」「して返した事」「迷惑をかけた事」を過去の自分の生活しという事実にそって淡々と調べれば良い。内観では具体的な事実を思い出すことが大切なのであって、他者がどのような人だったかというような漠然とした印象や抽象的な感想を語る事は内観ならぬ「外観」として戒められる。(森田療法と内観法 富山国際大学 大谷 孝行 より)

日常内観

1週間、集中的に内観する以外に、日常生活で行うものになります。実施する場所は日常の生活において30分から2時間、調べるテーマはこれまでの成長歴で重要な関わりを持った人との過去の一時期と今日1日の振り返りです。

日常生活で生じる出来事に対して、相手を攻める前にまず自分を振り返ってみる。相手に要求する前に自分がすべきことを考える。相手の立場になって考えてみる。(上級心理カウンセラー資格取得講座 3.フォーカシング・内観療法 株式会社キャリアカレッジジャパン より)

内観療法の効果

内観療法により期待できる効果
  1. メンタルヘルスの向上、
  2. 人間関係の改善。
  3. 幸福感の向上

You Tube 、ダイコミュ大学 公認心理士 川島達史 15分でわかる心理療法⑪内観療法より

感謝の気持ちを常に持つ事で得られる効果
  • 感謝の気持ちを抱くことは、脳機能を高め、脳を全体的に働かせることに役立ち心と体に様々なメリットをもたらします。
  • いつも感謝をしている人は、困難な事に遭遇しても問題解決に早く行きつくことができ、大変な状況にも順応しやすく、鬱になりにくいといった結果も出ています。
  • 感謝の気持ちを持ち続けると成長志向になり自制心が増します。
  • 感謝をしている時には、脳内で複数の領域がプラスに繋がり活動が活性化し、物事のプラスの面を見つけやすくなります

科学的に幸せになれる脳磨き、サンマーク出版、脳科学者、医学博士、岩崎一郎より

内観療法で得られる効果は、まさしく感謝の気持ちが持てるようになるために得られる効果と同じである。つまり、内観を行う事で自然と感謝の思いが湧き上がってくるからとも考えられます。

また、上記の「科学的に幸せになれる脳磨き」には、自分にとってポジティブな成果を得たから感謝する「恩恵的感謝」だけをしているとエゴが強くなり良くない。

そうではなく、あらゆるものに感謝することが出来るようになる「普遍的感謝」を感じる事で、成長意欲が増大し、困難に立ち向かう勇気が持てるようになるとも記載されています。

普遍的感謝を感じるのに大切な事

感謝の脳回路を鍛える。

  • 感謝は感情のひとつ。特別な事が無くても気持ち次第で感謝は出来る。
  • 常に感謝の気持ちを持つには感謝することを習慣づける事が大切
  • 何か特別な事があったから感謝するのではなく、常に「感謝」の気持ちであろうとすることが大切

科学的に幸せになれる脳磨き、サンマーク出版、脳科学者、医学博士、岩崎一郎より

周りが自分を支えている。

内観法では、先に紹介したように、様々な他者との関係性の網目として自分が存在してきた事、そして現に存在している事を自覚させるのが内観であるとされています。

集中内観を終えたものは。日々の当たり前の生活が尊いものであるという思いを強く感じるようにうなる。人間関係ばかりではなく身の回りの風景を見ても一段と美しく見えたり、毎日の食事、身の回りの物質がみな、自分を支えてくれている価値あるものに感じられる。(森田療法と内観法 富山国際大学 大谷 孝行 より)

つまり、内観を行う事で、人だけではなく、物に対しても、岩崎一郎氏が言う所の「普遍的感謝」が得られるようになるとのことです。

分からなくはないですが、なんにでも感謝の気持ちを!!と言われると、何となく、背中の当たりがもぞもぞする居心地の悪さを感じたりしませんか?

実際に嫌いな人はいますし、「感謝なんかできない」と思う人はいます。あらゆる物に感謝の気持ちを!と言われると非常に偽善的な感じがするのは私だけでしょうか?

私には上記のような思いがあったのですが、「こころと人生、河合隼雄 創元こころ文庫」にそういった事か?と思える記載が有ったので紹介します。

鳥でも、石でも、木でも、みんな自分と関係がある。そして、みんなで「私」というものをやってくれてるじゃないかというふうに僕はこのごろ思います。

例えば、どこかの家の松の木が見える。ある日突然その木が急になくなったらやっぱり何とも言えませんよね。(中略)それはどういうことかというと、その松の木はそれまで自分の人生を支える非常に大切なものとして存在していたという事です。

そんなふうに、「いろんなものがまわりで自分を支えてくれている」と思えるようになってきたら(中略)「私はちゃんと生きてます」という感じがだんだんとしてくると思います

これは言うと簡単そうですが、なかなか難しい事です、しかしまた、考えたら非常に易しい事でもある。要するに普通に生きていたらいいんですから。生きていると必ず何やかやとあります。そのたびに「ああ、ここまでよくやって来たな」とおもったらいいんです。なかなかそうはいきませんけどね。

こころと人生、河合隼雄、創元こころ文庫、P202 まわりが自分をささえる より

河合隼雄さんは、上記の書籍の中で、嫌いな人がいても、そうしたこと全体が「私が生きている」という事なんだ、とも記載されています。そういった嫌いな人がいるから、自分にプラスになる事が起きたりする。といった趣旨の事も記載されています。

また、別の書籍、河合隼雄の幸福論 PHP出版社 P149 輪廻転生で現実の自分の問題や悩みを前世と結びつけて納得する事で悩みが解消した話とか、輪廻転生の考え方で色々な物を見ると、自分はやはり、色々なものと関係を持っている。と感じやすくなる。といった事が紹介されています。

現代は、ある意味、この関係性を切ってきた。その方が便利だからである。しかし関係を切ってきたことで、自分は誰ともつながっていないと思うと非常に不安になる。人や物とのつながり(関係性)を考える事で悩みが克服出来ているのではないか?といった趣旨の記載もされています。

私の所感

感情は自分の認識により変わってくると言うのは納得です。森羅万象とのつながりを意識するのが大切な事も分かります。物に対しても愛着を感じる事は良くあります。

しかし、それは当たり前、と思うと感謝の気持ちは出て来ません。人は健康な時には健康のありがたみが分からない。とはよく言われる話です。

やはり、それは当たり前ではないのだ、自分にとってやはり大切な物なのではないか?と時々振り返るのが大切なのだろうと思います。そして、その行為が、内観療法と呼ばれているものに通じるものが有ると思います。

私は、嫌いな人や、どうしても嫌いなものまで含めて、「私が生きている」という事なんだと言える境地には達しておりません。そう思いたいと思いますが自分に嘘をつくわけには行きません。

しかし、自分にはやはり不要だ、いやだ。と思えば、距離を取るなり、別の方法も考えられるのではないでしょうか?

そういった意味で、日常でも自分を振り返る時間を大切にしたいと思っています。

ただ、なんやかんや言って、ここまでよくやって来たな、と思えばよい。との言葉にはホッとする物を感じます。自分自身、なんやかんや言ってここまでよくやって来たなとは思えます。

これからも、前向きに進めるよう、毎日を過ごしていきたいと思います。

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