購入品の社内管理基準を構築する時の注意点。

品質マネージメントシステム

重要購買品の選定

購入品と一口に言っても非常に多岐にわたります。素材メーカーの原材料や私が担当していたようなガラスの梱包容器や梱包材のように、購入品の品質が製品の品質に大きな影響を与えるものから、一般事務用品のように管理を必要としない物まで色々あります。

購入品の購入後の運用基準を考えるにあたっては、その購入品が自社の製品の品質に与える影響を考慮にいれて、重要購入品を指定し、特別に厳しい運用管理基準を決めるのが最初になります。

ちなみに、私が担当していた液晶用ガラスの梱包材、梱包容器は重要購入品に指定されており、定期的なメーカーさんとの品質会議、営業情報を基にした社内の品質会議、メーカーさんの工程監査などは、開発/品保/資材/製造合同で実施しておりました。

メーカ選定で大切な事
  1. 製缶作業のように人手作業が中心のメーカーさんは、社長さん(担当窓口)の姿勢。
  2. 装置産業は装置仕様がやはり大切

梱包容器の製造メーカーさんは韓国や台湾の中小企業さんにお願いしていました。間に商社さんに入ってもらうのですが、実際に一緒にやっていく上においては、どれだけ、こちらの思いを汲んで対応してもらえるか?という事が大切になります。小回りが利くのと、基本、製缶作業なので、社長、あるいは、担当窓口の影響力が大きく影響します。

正直、当初は、QMSってなに?トレーサビリティーって何?といったような状態でしたが、こちらが要求するレベルを説明し、システムを構築してもらいました。

「初めは、色々うるさい事を言ってくる人だと思ったが、工程がすっきりして、仕事が見えるようになった。非常に感謝している。」との言葉をいただき、私も大変うれしかった記憶が有ります。

一方、ガラスのクッション材として使用する紙などは装置産業なので、工場見学でしっかりポイントを確認する事が大切になります。窓口の姿勢も大切なのですが、装置相手なので、やはり、対応出来る事には限度が有ります。

購入仕様書/仕様一覧/受入検査

購入品仕様一覧/購入仕様書

 購買が、一社購買にならないように、購入品の仕様書をまとめる必要があります。窓口は資材が窓口になるのが通常ですが、実際には開発品は開発部、量産後は資材が中心になって協議して行く事になります。

受入検査

 メーカーさんの出荷検査で代用するのが基本です。メーカーさんでしっかり検査しているかチェックする意味でも同じ項目を受け入れで検査すべきだ。と主張する方も良くいらっしゃいますが、単純に、同じ作業を二回やるのは無駄だと思います。そういった心配が有るのなら、メーカーさんとコミュニケーションをしっかりすべきと思います。

しかし、メーカーでは確認できないような品質確認は社内で受け入れ時に実施する必要が有ります。検査結果が出るまで、受け入れない。とするのか、モニター扱いとするのかは、関係者で良く協議して決めれば良いと思います。

検査結果が出るまで受け入れないとすると、検査の間の在庫の問題、NGとなった場合の取り扱い。一方社内検査結果とお客様の品質に与える影響を考慮して決めるしかないと思います。

運用管理基準の作成

 使用する工程で作成するのが基本です。ただし、特注の梱包容器のようなものは、使用する工程にて管理基準を決めきれない場合があります。

 その場合は設計/開発部署が設計の立場から管理が必要な項目を明確にし、使用する工程と協議の上、管理基準を作成する必要があります。

 特に、使用する拠点が複数に及ぶ場合には、本社の統括する部署がとりまとめ、共通の管理基準を作成する必要があります。

 お客様との管理上の約束事項も確実に管理基準に反映させなければなりませんので営業/品証との協議も必要です。

 言うのは簡単ですが、実際に運用するのは非常に大変です。共通の管理基準をまとめるのはどこが最適か?からして色々揉めます。

失敗談

 初期は、実際の管理基準なので、容器の機種ごとに幹事工場を決め、幹事工場の生産管理部門にメンテナンスをお願いしていましたが、上手くいきませんでした。

 その大きな理由は工場の生産管理は、あたり前ですが他の工場のお金に関して権限がありません。幹事工場が管理基準を決めても、他の工場では実際に行われない。必要な情報が幹事工場に届かないこともありました。

 結局、権限、情報、責任は分散させることなく、一か所で管理した方がやはり良いとのことで結局、本社の生産管理部門が一括でメンテナンスするシステムに変更してから上手くいくようになりました。

ポイントとしては以下の5点が大切だと思います。

運用の共通管理基準を作るポイント
  • 共通管理基準は設計上必要な管理項目/お客様との約束事項は最低限盛り込む、
  • 上記以外の管理基準は拠点独自の運用とし、拠点運用の自由度を持たせる。
  • 一度管理基準を決めたら、その後は4M変更で維持管理を行う。(共通管理基準を変更/あるいは追加したい場合には、4M変更申請が必要)
  • 当然ながら拠点巡りを行い、システムを構築した後も定期的に訪問する。
  • 維持/メンテナンスは権限/情報/責任のある部門が一括で担当する。

まとめ

  • 自社の製品の品質に与える影響を考慮し重要購買品を特定する。
  • 重要購買品は、他の購買品よりも特に厳しい管理を行う。
  • 受入検査はメーカーの検査結果を確認するのが基本
  • 自社でなければ確認できないことは自社で受入検査を行う。

運用の共通管理基準を作るポイント

  • 共通管理基準は設計上必要な管理項目/お客様との約束事項は最低限盛り込む、
  • 上記以外の管理基準は拠点独自の運用とし、拠点運用の自由度を持たせる。
  • 一度管理基準を決めたら、その後は4M変更で維持管理を行う。(共通管理基準を変更/あるいは追加したい場合には、4M変更申請が必要)
  • 当然ながら拠点巡りを行い、システムを構築した後も定期的に訪問する。
  • 維持/メンテナンスは権限/情報/責任のある部門が一括で担当する。

コメント

タイトルとURLをコピーしました