ISO9001は品質マネージメント(QMS)の国際規格です。しかし、QMSは自社に適したものでなければ有効に機能しないのは自明です。
自社に適したものにするには、やはり、自社の問題点は何か⁇を考え、その際にISOの要求事項が十分機能していないのではないか?と考え、効果的なシステムを考える。
「システムありき」ではなく、自社の問題点解決のために仕組化するの考えが大切になると思っています。
以下、説明して行きます。
自社に適した仕組み(QMS)を考える。
有効なQMSを構築するには?ISOの活用は?
ISOを取得されている方に質問です。労力に見合う効果が得られていると思われているでしょうか?
外部審査も内部審査も実際に役に立っているかどうかまでは正直踏み込めません。何故なら、ISOは要求項目はありますが、具体的な方法は言及していないからです。皆さん、考えてくださいなのです。有効性の評価とも言われますが、それも同じ考えてくださいです。
審査員や内部審査でも、方法に関してアドバイスをいただくことがありますが、どれだけ、的確なアドバイスになっているでしょうか?
結局、自分の心と、あるいは関係者で率直に協議する必要があると思います。
システム自体は立派だが、実際には色々な事情で上手く使えず、審査前に急遽書類の整備をしたりしていないでしょうか?
十分有効に機能している。と思えるのであれば素晴らしいです。何も言う事はありません。そのままブラッシュアップして行きましょう。
ベンチマークとして他社の事例を勉強するのは参考にもなります。トヨタ式○○の秘訣、といった類の本もいっぱいありますが、自分の所でそのまま使えるかと言えば「?」でしょう。(だから無駄だとは言っていません。どうやったら良い点が使いこなせるか考えるべきでしょう。)
ISOの要求事項はポイントをついています。意味がない?と思われている方は、自分のプロセスにうまく適応できているか?といった観点で見直しましょう。
十分ではないと思ったら、どうやったら有効に運用できるか考えましょう。
その際、よく、もともとあった社内のシステムにISOシステムを当てはめて行くことで自社に合ったシステムを構築しましょう。といった意見が多い様に思います。
私は、それではせっかく、新たにシステムを構築するのに、もったいない、不十分と思っています。
一旦、ISOの事は忘れて、あるべき姿(目標)と現状の品質管理システムを比較して問題点は何なのか、原因は何なのか、どうすれば良いのか?といった王道を考える。
その際にISOの要求事項に答えられていないのではないか?とISOの要求事項をヒントとしてとらえ、自社で実施できる自社なりの管理システムを構築するのが良いと思っています。
QMSやISOは当たり前の事しか要求していません。
上記は私が勝手に言っている7原則です。ネットなどで良く出てくる7原則は私にはピンとこないところが有るので記載していません。興味が有る方は検索ください。
いずれにしても当たり前の事しか書かれていません。しかし、当たり前だ。と思える事がしっかりできているとは限りません。
改めて見てみると、当たり前と思える事が当たり前に出来ていないことが多々あるのではないでしょうか?
設計/開発について
このブログで紹介している記事は、私がこういった方法が良いだろうという事でたどり着いた方法です。ISOの要求事項をベースにしていますので、参考にしていただけると思いますが、やはり、自社に合わせて有効な方法にする必要があると思います。
ISOの要求事項は他にもありますが、最低、以下の5つについて、自社ではどのようなシステムにするのが効果的なのか考える必要があると思います。
1,については、お客様が求めているのもを具体的に言語化あるいは数値化して、社内で仕様やサービスに具体的に反映でき評価できる形にすることがやはり必要です。
品質改善について
うちは設計も開発もしない。お客さんから指定された仕様の製品を作って納めるだけ。といったメーカーさんもあるでしょう。
しかし、品質改善はすべての製造業で必要になるはずです。QCストーリーや物理化学的な原因、人の行動が原因、仕事の進め方に原因がある場合の原因追及方法、再発防止、未然防止はすべてのメーカーさんの参考になると思います。
また、ブログでは紹介してこなかったですが、私の経験上、トレーサビリティの確保や識別や不良品の取り扱いなど基本的な品質管理方法が取られていないメーカーさんも実際に存在します。
特に、お客様から依頼を受けて、一点ものを作成して納入する。リピートオーダーの少ないメーカーさんに多いです。ただ、リピートオーダーの商売をやるのであればその辺りの最低の整備はやはり必要と思います。
顧客重視
「トップマネージメントに対して顧客要求事項が決定され満たされることを確実にしなければならない」と言われますが、お客様は誰かを具体的に考えることは大切になると思います。
すでに記事にしているのでそちらも参照してください。お客様の要求事項を理解するには、お客様は誰かを具体的に考えるところが大切と言われています。単に、担当者が思い付きで要求するようなものなのか、そうではないのか、判断することも大切です。
一般消費者が相手のビジネスも、お客様を具体的に想定することが大切と言われます。難しさは良く分かりませんが、考え方は共通の物があると思います。
品質方針、品質目標について
ISO上も、「組織の目的に対して適切である事を確実にする事」が謳われています。
品質を高めることは大切と言われれば、当然そうですが、それでお客様が満足するか、よく考えて、適切な品質目標を決める必要があります。
それには、別の記事で紹介した「狩野モデル」のように、魅力的な品質、一元的品質、当たり前品質が参考になると思います。
魅力的品質については自組織の強みを考慮しながら、いくつかの項目に焦点を絞って競合組織を凌駕する水準を狙えばよいでしょう。いかに重点を絞ってリソースを集中しブレークスルーをはかるかが大切となります。
当たり前品質は、競合組織を凌駕しても喜んでもらえませんが、悪くなるとそっぽを向かれます。競合組織を下回らない水準を狙いとした上ですべての物を確実に実施する必要があります。
魅力的品質を実現するためには、顧客の潜在ニーズを把握する事と、ニーズを満たす上で不可欠なボルトネック技術を予想し、解決する事の二つが大切になります。
ISO9000の知識 中條武志著 日本経済新聞社 より
潜在ニーズを引き出すには?
TVでやっていたアイリスオオヤマのように、開発者が徹底的に商品を使い倒して潜在的ニーズを探り出すのは良い方法だと思いました。
また、一般的にはアンケートやグループインタビューや行動観察などが有効と色々なサイトで提案されています。しかし、お客様の負荷を考えると特に法人相手のビジネスの場合難しいような気がします。
コーチングや心理学で良く言われるうように、「何の制約もなかったら、どういった機能、性能ががあればうれしいですか?」と聞いてみるのも良い方法のような気がします。ついでに言えば、「その機能、性能があればうれしいのは、どうしてですか?」と聞いてみるのも有効と思います。
一方で、世の中を変えてきたのは、お客様の要望ではなくて、創業者の思いといった物が強いと思います。なので、突き抜けたい方には、自分の思いを大切にしていただきたいと思います。
3C分析
やはり、自社、他社、市場の状況を調べて、整理することは最低限必要でしょう。
改めて、3C分析などと言われなくても、3Cは中小企業のオーナーさんなら肌感覚で分かっているのではないでしょうか?ただ、誰かに調査を依頼し、議論することで、より、理解が深まるかもしれません。
市場は、市場の規模や成長性です。他社はシェアや強み、弱みです。色々なサイトで紹介されているので詳しくはそちらを参照してください。
市場の規模や成長性については、お客様にどう見ているか?知り合いはどう見ているか?など複数の情報入手経路を持っておいた方が良いと思います。
リソースや制約条件を明確にする。
言うまでもなく、自社のリソースなど、制約条件を明確にしないと方針や目的は立てられません。
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