狩野モデル
設計/開発を進める上で、お客様の要求事項、要求品質を洗い出すのが最初と言われています。
しかし、お客様の要求品質の種類によって、その要求品質を洗い出す方法は考えないと的確な要求はつかめないと考えています。
お客様の要求品質の種類については「狩野モデル」と呼ばれるモデルが有ります。
右の図のように、他社との差別化につながる魅力的品質、競合他社との性能比較をされる一元的品質、取りこぼしが許されない当たり前品質に分ける事が出来ると考えられています。
狩野モデルで分類されている、魅力的品質、一元的品質、当たり前品質を的確に引き出す方法を考えたいと思います、
お客様の要望をどうやって引き出すか?
魅力的な品質
魅力的な商品は、潜在ニーズを把握する必要が有ります。
お客様が気が付いていないニーズをいち早くとらえる必要が有るので、取り扱っている商品によって、潜在ニーズの引き出し方は違ってくるのではないでしょうか?
B to Bの場合
私はB to Bで電子部材、あるいは液晶用のガラス基板を扱う部署にいたので、直接のお客様だけでなく、その先のお客様、業界のロードマップなど、色々な情報から、直接のお客様と未来について議論することでニーズを引き出すことが大切になります。
そのことを模式的に示したのが図1:「魅力的な品質」を引き出す方法です。
お客様でも適切な部署の方(キーマン)と議論をすることが大切になってきます。また、具体的な形が無いわけですから、コンセプト、あるいはストーリーを話する事が大切になります。
B to Cの場合
一方、一般消費者向けに商品やサービスを提供されているような方は、ただ、単純に聞いただけでは一元的な要望しか出てこないような気がします。
一般的には、消費者の行動を観察すると良い、あるいは、何か要望が出た時のその理由を聞くのが良い。とも言われているようですが、難しいような気がします。
何かのTVで見ましたがアイリスオーヤマさんは、商品を使い倒して開発のアイデアを得るとのことでした。
魅力的な品質を引っ張り出すのが仕事だと思う事で、意識がそこに向き、より的確な潜在ニーズが引き出せると思われ、非常に良い方法だと思いました。
また、世の中の新商品と呼ばれるものは、発明者のひらめきや、熱い思いから出てくるものも多々あります。
いずれにしても、お客様にとって、何が魅力的な品質なのかに関しては、各社、扱っている製品、サービスによって個別に考える必要が有ると思います。
一元的品質
お客様からヒヤリングして、最も得られる要望はこの一元的要望でしょう。性能品質と呼ばれるように、日頃。不満に思っているので、お客様の声が直接使えると思います。
なので、仕様書などでスペックを提示し、サンプルを評価してもらえれば、そのFeed Backがそもそも一元的な品質(機能)のFeed Backになります。
そのことを模式的に示したのが図2:「一元的な品質」を引き出す方法です。
当たり前品質
当たり前品質は制約事項と捉えても良いでしょう。
しかしながら、お客様の要望を聞いても要望事項として挙がってきません。何故なら、当たり前だと思っているからです。
私が、梱包容器の設計を担当していた頃は、事前に流動試験をしているにもかかわらず、数が多く流れるようになると、そもそも、お客様の工程で搬送出来ない。等とといった、当たり前の品質が確保されないことが、恥ずかしながら有りました。
それらの原因は、お客様の工程を流すうえで、どこが危なそうか事前にお互いに十分確認できていなかったことが原因です。
制約条件はお客様も製品の事が良く分かっていないので、何が制約条件になるのか分からないのです。
従って、設計/開発者が実績のある既存品と何が違うのかを明確にして、お客様とどういった問題が起こる可能性が有るのか、前広に協議をすることがどうしても必要になります。
何故なら、既に実績が有る物は問題なく使えている訳ですから、トラブルの原因になるのは、実績の有る物と違う所が原因になるはずであるからです。
そのことを模式的に示したのが図3:「当たり前品質」を引き出す方法です。
既存品が他社品しか無ければ、あらゆる手段を使って、他社品の情報をかき集めるしかありません。
そんなの図面をしっかり確認していないだけだろう。と思われた方。私もそう思っていました。しかし、現実は、図面に記載されていない情報が遥かに多いのが現状です。
ポイントを絞って議論する事が必要不可欠になります。
まとめ
- 狩野モデル
- 品質には当たり前の品質/一元的な品質/魅力的な品質が有る。
- 魅力的な品質
- なくても困らないが、有ると魅力的な品質
- 取り扱う商品によってお客様からの引き出し方は考える事が大切
- 一元的な品質
- 性能品質で常に競合他社と比較される品質
- お客様からダイレクトにFeed Backが来る品質。
- 当たり前品質
- クレームに直結する取りこぼしの効かない品質
- 新規開発/設計を行う場合には、実績のあるものとどこが違うのか明確にして議論することが必要
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