改善活動を進める際の二つの壁、人の壁、組織の壁について考える。

業務改善

改善を進めるにあたって、やはり人の問題、組織の問題があると皆さん感じられているのではないでしょうか?

ここでは製品の品質だけでなく、作業の効率化や、管理方法の改善など、現場の改善全般を対象として、個人的な見解を紹介したいと思います。

決して記載の通り実施すればすべて上手く行くというつもりは毛頭ございません。色々なケースがあると思います。皆様の考えるキッカケにしていただけると有難いです。

初めに、、、

改善は誰が改善を進めたいと思っているかによって人の問題、組織の問題も変わってきます。まずはその整理を行い具体的な対応について考えて行きたいと思います。

自部門の上位組織、上司からの指示の場合

立場が異なり仕事内容も異なるのでそもそも上位組織(上司)の方がより高めの目標を設定しがちです。従業員との危機意識の隔たりに悩む中小企業の社長さんが多いと聞きます。

いわゆる、下位組織から見れば外圧として降りてくることになります。そのこと自体は私が言うまでもなく会社としては当然必要なことです。

 しかし、指示だからと言われても、実際に動く側の納得感がないと上手く行きません。

その為には、上位は、今の組織の置かれている状況、等から、こういった問題点があり、改善しなければならない。といった説明をするのが一般的です。

 指示命令系統上にあるので指示自体は受け入れられるでしょうが、具体的な目標や期限を決める際に、押し付けられてる、納得できない。と感じることは多いのではないでしょうか?

具体的な対処方法

①部下の目標、期限は一緒に考える。

役職が上の方でも、やたら細かい内容を指示してくる方もいらっしゃいます。それだけで部下は信頼されていないと感じるでしょう。また、上司提案内容が上手く行くと思えない場合は当然やる気になりません。

 本人は指示したつもりは無い。アドバイスしただけだと思っているかもしれませんが、相手は強制的に指示されたと受け取る場合もあります。

 全員がその場で反論出来る訳でもありません。両者とも考える必要はあるでしょうが、実際に上司が話をしている時の部下の表情などから気を付ける必要があると思います。

②上司は何をしてくれるのか?

 上司の仕事は部下の仕事をフォローする事が大切と言われます。これをいかに実施するか?部下の目標、期限、方法を決める際に、具体的に上司がフォローする事は何か、具体的に協議をして決めることが大切です。

 新たにアクションを起こすのには準備の時間が必要になるでしょうし、アクションを起こした結果、対応しなければならないことが出て来ます。

 実際に仕事を進めないと分からないことも多いですが、ある程度経験を積めば起こりそうな事はある程度想定できます。仮でもいいので、その場合も上司は具体的に何をしてくれるのか、逆に何をして欲しいのか、初めに協議するのも大切だと思います。

 もしもそれで上司自身がパンクしそうになるのであれば自分の上司なりと相談することになります。

他部門からの指摘、依頼の場合

他部門からの指摘とは、具体的な改善要請が来るような場合です。

例えば、営業部門から、工程管理部門に、納期変更は前日に言われても対応できない。最低三日前までに連絡するようにして欲しい。など、部門間で改善要請が来る場合です。

そもそも、部門間の利害関係があり、指示系統からいっても協力体制が得られにくいといった問題があります。

具体的な対処方法

①相手の話をよく聞いて、Win-Winの交渉内容、方法を考える。

部門間の交渉に関してはすでに記事にしていますので参照してください。上では話は通してあるのでやってもらうのは当然の態度で臨んではダメです。総論賛成、各論反対は良くある事です。相手側で良く話をしてもらう事も大切ですが、やはりポイントは交渉です。

②協力体制が得られる所とまずは実績を作る

全員から賛同を得られることはまずありません。合意出来ることからまずは進める。協力体制が得られる所とモデルケースとして取り組むなど、実績を作ることも大切です。

通常の交渉では交渉決裂のラインを想定し、そうなった場合の対応も事前に検討して交渉に臨むのが良いと言われています。確かに、価格交渉など、安請け合いをすると良くないことは明らかです。

しかし、社内の場合、決裂して済むような話であれば初めから依頼しなければ良いと思いますし、そもそも、決裂するよう依頼であれば、その依頼に重大な問題があると考えるべきだと思います。

実績が出来て効果が見えれば、否定的だった人も賛成派に回ります。ただし、自分はやりたくないけど、進める分には問題ないよ。という状態にはしておく必要があります。

自発的な改善活動

改善の内容に応じて、影響の範囲が変わってきます。上記の図の点線はその範囲を示しています。その範囲に応じて周りへの働きかけも自分で推し進めなければなりません。周りの協力、モチベーションの維持が問題になるかと思います。

エピソード

 色々、考えることが多いエピソードを紹介します。

 新任の部長が来られた際に当時の最新の開発購入品の仕様で紛糾したことがあります。お客様への説明、量産準備も進めていた中で、仕様変更を要請され、私は大反対しました。時期もさることながら、非常に高額になってしまうため、調達部門と進めてきたコスト目標も大きく超えるのが大きな理由でした。

 どうせ調達部門で却下されるだろうと思っていたところ、なんと承認され、営業先を始め、各方面に多大な迷惑をかけることになりました。

 その対応の為、非常に忙しい思いをしたにもかかわらず、調達部門の部署長からは状況は分かっていたはずなのに混乱を招いたことでさんざん怒られました。

 私は完全にへそを曲げ、やる気を失っていました。幸い、調達部門のメンバーは私と同じ悔しい思いでいてくれたので、徹底的なコストダウンを自主的に検討する事としました。同じ思いの協力者がいなければモチベーションは保てなかったでしょう。

 当然、部長はいい顔はしませんでしたが、気にせず進めて行きました。そろそろ、実際にサンプルを作るようなタイミングになりどうやって予算承認を取ろうか?と悩んでいたところ、タイミングよく、事業部長から何故こんなに高いんだ?との指摘があり、調達部門に対して強力なコストダウン検討要請が出ることになりました。

 そうなると、話は180度変わります。強力な追い風が吹き、結果的に大幅なコストダウンを達成することになりました。

 上記、開発案件が終了したところで私は知財兼務に異動になりました。表向きは色々説明は受けましたが、扱いにくかったんだろうと思います。

QC活動(小集団活動)や改善提案

オペレータの自発的な改善と位置付けられると思います。如何に現場のモチベーションを上げるか、改善活動を定着させるか?が難しい点だと思います。

ソルーション・フォーカストの応用

私が大切だと思っている事は別の記事の現場改善の項目を参照ください。

ソルーションフォーカストとは、やる気を引き出す、肯定的な未来を描き、そこから、現状を見た時に活用できるリソースを活用して、出来ることから行動しようといった心理療法です。

その手法を現場に応用します。具体的な運用方法は「15分ミーティング」のすごい効果、矢本 治 著、日本実業出版社が参考になります。

現場全員が参加し、肯定的な未来を描き、自分で出来ることを確実に実施して行く事で、成功体験ができ、モチベーションが高まり改善活動が定着して行く具体的な方法が記載されています。

改善活動を短い時間でも毎日の仕事として組み入れている所も良い点だと思います。

改善活動が大切と言いながら、その為に時間を取らせないで、時間外で活動させたり、時間が出来た時に活動するような場合、それだけで改善活動の優先順位は低い、というメッセージになるように思います。

標準作業の技術的理由、説明

技術的な理由、説明を行う事で、納得してもらうと、実際に作業していただいている方から提案ができやすくなります。話よりは実際に経験してもらう体験型の方が説得力が増します。

ガラスの割れ低減活動の記事にその辺り記載していますのでご覧ください。

まとめ

 色々書きましたが、以下の事が大切と思っています。

結局、皆のモチベーションが保たれ、協力体制が得られるのが大切。

上下関係は、いかに部下に能力を発揮させることが出来るか?そのために上司が出来ることは何か?を考える。

部門間であれば、Win-Winの関係をめざして、交渉して行く

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